飛騨方言・いしばかち、ですが、新築工事の際の基礎工事の事をいいます。ネット情報では
新潟県中魚沼郡津南町方言として発信がありますが、飛騨方言と同意でした。
いしばかちの意味ですが、日本の家屋ですので、土地を水平にならして、
柱の位置となる所に穴をほり、ガラという石を敷き詰め、そして其の位置を
巨木を用いてつき固める作業の事を言うのです。
まず大きな木でガラ石を敷き詰めた位置にいしばやぐら(櫓)を組み、いしば櫓の頂上部に滑車があり、
片端にいくつものロープが付いた巨木を吊り下げます。ロープの先端は何人もの男が一斉に
掛け声をかけてひっぱり、巨木を上げ下げしてガラ石を餅つきのように突くのです。
いしばかちにうたわれる民謡は参加者全員の気勢を添えるために唄われます。棟梁のような
ひとが音頭を取り、全員が勇壮に掛け声を出します。唄というより掛け声そのものといっても
よいでしょう。全て即興で、例えば、
音頭とり: はあ、それえやれっ、それえやれっ!
ロープ引き:よーい(*)しょっとお(**)、よーい(*)しょっとお(**)
音頭とり: はあ、もひとつおまけじゃあ!
ロープ引き:よーい(*)しょっとお(**)、よーい(*)しょっとお(**)
(*)=(ロープを引き、巨木を持ち上げる), (**)=(ロープを離し巨木をドスンと落とす)
という感じです。
危ないから子供は近づいてはいけません。高みの見物です。
そして、やくと(=わざと)あくれて(=面白半分に)"よーい屁とお、よーい屁とお" などと黄色い声をだして
応援したものでした。
いしばかちが終了すると其の位置に縁の下の力持ちとなる大石を順次置いていき、
基礎工事作業はひと区切りとなります。
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