くらかけとは飛騨方言で踏み台などの事ですが、厳密には、二つの小はしごがへの字型で、ちょうつがい式に繋がっており、
普段は閉じて格納しておき、必要な時は広げ、其の形があたかも乗馬の鞍の形をしているものを指し示す
と思います。
あるいは、ほんど二、三段の大きさで高さも人の腰あたりまでのもので、ちょうつがい式ではなく、固定式
のものも、くらかけ、というのでしょう。
漢字の表記は、鞍掛け、になると思います。もっとも乗馬の場合は鞍をひょいと馬の背に引っ掛けてやる事
から鞍掛けるという表現でいいのですが、飛騨方言のくらかけ、の場合、ひょいと掛けるのではなく、
それどころか、床などの水平面にぐらぐらしないように設置、固定するわけですので、表現としては非合理です。
ひとつ思い浮かぶことは、飛騨方言では石垣のことを、いしかけ、というのです。
石垣の場合も石をひょいと掛けるのではなく、しっかりと積み上げるわけです。
従って、くらかけ・いしかけに共通な"掛ける"という飛騨方言動詞は、ひっかけるという意味ではなく、
ぐらぐらしないようしっかりと固定する、あるいは積み上げるというような意味である事がわかります。
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