飛騨方言で、逆立ち、あるいはとんぼ返り、の事を言います。
ただし、さかてんぼをつく、さかてんぼつく、の用法です。
さかてんぼする、とは言わないようです。
逆立ちなら誰にでも出来ましょうが、とんぼ返り、ともなると
誰でも出来るという訳にはいきませんね。
かっこうの練習法があり、本邦初公開しましょう。
冬に雪が積もった田んぼの土手へ行くのです。
土手から田んぼめがけて、さかてんぼをつく事なら
誰にでも出来ます。降り積もった雪がマットの役割をしますし、
高い所から低い所めがけてとんぼ返りをする事は極めて容易です。
語源ですが、やはり、とんぼ返り、でしょうね。
さかさまにとんぼがえり>さかとんぼ>さかてんぼ、と変化したのでしょう。
筆者なりの語誌ですが、おそらくは古くには、とんぼがえり、のみの意味で
用いられていたのでしょう。つく、という動詞に接続するだけという事から
明らかでしょう。衝く、とは、不意をつく・悪天候をつく、などの
用法から明らかな如く、とっさに何かをする事、ものともせずに突き進む事、
を意味します。とんぼがえり、という咄嗟の動作もそのような所作ですね。
ところが、逆立ちをするという動作は、では今からするよ、という
しぐさです。もはや、つく、の意味はありません。
従って、逆立ちをする、の意味は後代に、さかてんぼ、が敷衍して
用いられた事を意味するのでしょうね。
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