飛騨方言のサ行変格動詞・せる、ですが、共通語の、する、と同意です。する、が訛ったものと考えられます。
活用は、せ(し、さ)、し、せる、せる、すれ(せれ)、せよ、です。
宿題せんとだしかん(せぬと、せぬと>せんと、=宿題をしないとだめだ)、
宿題しんとだしかん(しぬと、しぬと>しんと、=宿題をしないとだめだ)、
宿題させる
宿題して遊びに行く、
今夜中に宿題せるぞ(=今夜中に宿題をするぞ)、
宿題せる時間がない(=宿題をする時間が無い)、
宿題せれば(えんや=宿題をすればいいのだ)
宿題せりゃえんや(せれば>せりゃ、=宿題をすればいいのだ)
宿題すりゃえんや(すれば>せりゃ、=宿題をすればいいのだ)
宿題せやえんや(=宿題をすればいいのだ)
宿題せよ、宿題せよい、はよせよ(=宿題をしろ、はやくしろ)
せない、は、通常、せん、に変化します。せないと、等の言い方が無いわけではありません。
また、せれば、という言い回しが無いわけではないのでしょうが、
やはり、せりゃ、ないし、強調の場合は、せりゃあ、と音便変化するようです。
この場合、あ、にアクセントが移動します。
文例ですが、せりゃえんやろ、せりゃあ(=すればいいのでしょ、すれば)。
仮定形は特殊です。文法コーナーをご覧ください。
命令形は、文語表現の、せよ、になります。しろ、と発音すると、
印象としては、飛騨方言を放棄して、共通語で話す雰囲気に
なってしまい、余所他所しい感じ、威高々な感じになってしまうのです。
せよ、を更に強調すると、せよい、ないし、せよう、になります。
動詞・せる、は全国の方言としてネット発信がありますが、意味はさまざまです。
阿波弁ではこみあう、鳥取方言では急ぐ、などがあります。
蛇足ながら阿波弁では、せりあう、が、また、鳥取方言では、せく、がそれぞれ訛ったのでしょう。