飛騨方言・そしゃ、そしゃな、そしゃえな、ですが、そうすれば、そうしたら、という意味の副詞句です。
そしゃな、はおもに男性が用い、そしゃえな、は女性が用います。
つまり、〜な、〜えな、は飛騨方言特有の間投助詞で、"そしゃ"という副詞句にそれぞれ男性らしさ、女性らしさの
意味を添えます。
三者とも、そ、に強アクセントがあります。また、そしゃな、の場合は、な、に弱アクセントです。
次いで、そしゃえな、の場合は、え、に弱アクセントです( な、ではありません)。
さて、"そしゃ"の意味ですが、古語の副詞句・そうせば、が次第に以下のように訛って成立した
言葉であると筆者なりに考えます。
(1)そうせば > (2)そうせや > (3)そせや > (4)そしゃ
例えば、そうすればいいじゃないか、という意味で
(2)そうせやええながい、あるいは、 (3)そせやええながい
と筆者なりに内省してみても完璧に飛騨方言のセンスにあいます。そうせや、そせや、ともに現役の言葉ともいえましょう。
尚、(2)そうせや、への変化は飛騨方言の特有の仮定形表現で、サ変動詞・せるの未然形+飛騨方言の接続助詞・や、
への変化です。
(3)そせや、への変化は、各地の方言にしばしば見られる単音化、短呼化現象です。
(4)そしゃ、への変化は飛騨方言における特有の連母音融合です。
そしゃ、の用法ですが、二つあります。 相手の問いかけ話にしばらくの沈黙を置いたり、あるいは間髪入れず、
そしゃ、と応答して、それならば、という意味で用いる場合です。
妻:万博いかんかえな? 夫:(間髪入れず)おう、そしゃいくか!
もうひとつの用法は、人と別れる時に、さようなら、の意味で用います。
ではこの記事はおしまいです、さようなら、、じゃなかった、そしゃな!
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