共通語形容詞の、つめたい、に相当します。
古語形容詞「つべたまし(形シク)」が変化し、共通語「つめたい」となり、一方、飛騨地方では語変化せず「つべたい」にとどまったように見えますが、そうではないようです。
各種の語源辞典によれば、古語「つめたし」は、つま・爪+いたし・痛し、の連母音融合により発声したのです。「つべたまし(形シク)」は実は「つめたし」の派生語です。従って、飛騨方言「つべたい」は古語形容詞「つめたし」の子音交替現象(清音マ行から濁音バ行)です。
「つべたい」は共通語表現ではないので、全国各地の方言として紹介されています。
さて、「つべたまし」は、表情、態度、仕打ちなどが思いやりに欠けて冷ややかなさま、冷酷で人情を解しないこと、人間味が無い事を示し、これが後世には意味が拡大解釈され、氷あるいは水など、人以外の物に対してもひややかなさまを示す形容詞として使用されるようになったようです。
飛騨方言では、どちらかと言いますと人以外の物に対して使用するようです。
また、飛騨方言では「つめたい」も使用しますし、「つべたい」が更に音韻変化して「ちびたい」「ちべたい」などと発音されます。
つまりは、言葉の古い順は、つべたい>ちべたい>ちびたい、という事になります。
「つべたい」の反対語は「ぬくとい」で、古語「ぬくとし」が転じた形容詞です。
また、「つべとうて(=冷たくて)どうにも仕様が無い」のようにウ音便で使用する飛弾方言動詞で「しみる」がふりますが、これも私見としては古語・自マ上二「しむ(凍む)」未然形+受身・可能・自発「る」の複合動詞でしょう。
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