台所の事を各地の方言でなんと呼ぶかネット検索しますと、火、釜、水などに関係する言葉から
発生した方言が多いように思います。また、ダイドコと紹介してあるサイトが多いのもむべなるかな、
実は飛騨方言もこの語ですが、発音の省略化です。
台所では水を流しますので、我が家では専ら、ながしと言っていましたが。
また更にダイドコ以上に語を省略している地方がないかネット検索の遊びをしても、
"だいど"+"方言"の集合は"だいどこ"+"方言"の集合に含まれてしまいますし、"だどこ"+"方言"となりますと、
途端に六千件もヒットしますので結論は出ず、やむなく検索終了です。
とりあえずは、だいどこ、までが方言という事になります。
さて、台所わきの小部屋、食料庫の話ですが、飛騨方言で"つぼ"と言いますので、これをあれこれ
ネット検索してみましたがどうにもこうにも有用な情報が得られませんでした。
つまりは共通語に言う食料庫・飛騨方言に言う"つぼ"こそ、飛騨方言中の飛騨方言、
あるいは当記事が唯一のネット情報となるのかもしれませんが。
勿論、この食料庫には味噌などのつぼがいくつも置かれ、それらもつぼといいますが、
この部屋そのものを称して、つぼとも言うのです。
つまりはつぼ(部屋)に行って、壷から味噌を出すというわけですので、つぼから
味噌を出すといえば、
(1)食料庫から味噌壷を出すのか、あるいは
(2)味噌壷から味噌を出すのか、またあるいは
(3)食料庫から壷の味噌をしゃくしですくって台所に持ち出すのか、
飛騨方言では文脈が無いと意味が不明になってしまうのです。
また、つぼの部屋にあるのは、米、五穀、味噌、たまり、漬物の樽など常備品の他、季節の食料、
つまり冬は餅、ぜんざい、みかん、りんごなど、また食器、たまにしか使用しない
調理器具、石臼などですが、子供がおなかをすかしてチョイとつまみ食いをする部屋でも
あります。
さて、村にはマーケットが無い、家の前の畑が食料庫と言えなくもありませんが、加工したものはつぼに蓄え、
ちびちびと毎日の食卓に供せられたわけで、思えば随分と地球に優しい、環境に優しい生活をしていたものでした
(2005愛地球博に寄せて)。