飛騨方言・つくばる、ですが、すわる、正座する、しゃがみこむ、など多様な意味をもつ動詞で、
古語動詞・つくばふ(自動ハ四)に由来します。つくばふ、は共通語・はいつくばる、に変化していますが、
しゃがんで手を地につける、よつんばいになる、平伏する、という意味で、はいつくばると意味は変わりません。
はふ(はう)+つくばふ、と二つの動詞が合成され、はいつくばるになったものと考えられます。
飛騨方言のつくばる、は一般的には、正座する、きちんとすわる、という意味で用いられると思います。
学校の和室で、五分もつくばっとると(=すわっていると)足がしびれる女子生徒がごろごろ寝転がっていたら、家庭科の先生が
"これ、みっともないでつくばっとりないよ(すわっていなさい)。"といわれるでしょう。
よつんばいになる、平伏するという意味はありません。
よつんばいになるという意味では、飛騨方言でもやはり、はいつくばる、を使用します。
つくばる、は古語に由来しますので、全国各地の方言としてネット発信があります。
また、つくばう、は共通語と言えるのかもしれませんが方言としての発信もあり(岡山県下津井、能登、天草)、全国が二分されているようです。
圧巻は正座倶楽部さんの資料で正座について全国の言い回しが紹介されています。
飛騨方言 共通語
未然 つくばらず つくばわず
連用 つくばって つくぼうて
終止 つくばる つくばう
連体 つくばる つくばう
仮定 つくばれば つくばえば
命令 つくばれ つくばえ
連用形において飛騨方言は促音便、共通語はウ音便である点が顕著な差異であり、
飛騨の人間がウ音便で話すことはないであろうと筆者なりに考えます。