大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

てらそ・飛騨方言

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キツツキの事を飛騨方言で、てらそ、と言うのですが、 死語に近いでしょうねえ。 江戸時代から明治時代あたりまでは話されたのでしょうが、 戦前戦後の政府の方言撲滅作戦にあえなく消滅した言葉・てらそ。

キツツキマーク、などという洒落た言葉ではなくて、 てらそ印の飛騨産業なんてのはどうでしょうか。 今、飛騨産業のサイトにアクセスした所、Kitsu Web / Kitsu Menu の 文字が。絶句。

さて飛騨方言の勉強ですが、 キツツキという言葉、語源というか、意味というか、 木をつつくからキツツキですね、この言葉が生まれたのは 実は近世です。この鳥の古い言い回しは、てらつつき。 室町時代にはケラツツキに変化し、そして近世にキツツキが生まれた、 と各種の語源辞典に記載されています。

お察しの良い方には言うまでも無い事ですが、 室町時代以前、鎌倉時代あたりは飛騨方言でも テラツツキと呼ばれていたのですよね。 それが飛騨では近世あたりにテラソになり、 そしてこの言葉は戦後に死語化してしまったのです。

以上が長い前置き、きつつき・啄木鳥、の語源は木を突付く、 にある事は書かずもがな、筆者はテラソの語源はずばり、 寺巣、と考えます。 つまりは、上代にこの鳥がテラツツキと呼ばれていた所以は 寺の建物をつついていたのか、寺の境内にある木をつついていたのか、 そのあたりの鳥の生態から生まれた言葉でしょう。 テラソという言葉から、つまりは古来から飛騨の 寺社仏閣にはキツツキが巣をかまえていたのであろう、 と推察します。

つまりは、飛騨方言では、てらつつき・てらそ、と変化して、 寺に住み着く、という点が強調されていたらしい、 と言う事に佐七は気が付いちゃったのですよ。 つまりは寺に住む敬うべき鳥・てらそ。 一方、 中央語では、てらつつき・けらつつき・きつつき、と変化して、 つつき、が強調され、木をつついて台無しにしてしまう悪い鳥。 しゃみしゃっきり。

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