
飛騨と温泉をキーワードにネット検索していましたら、
下呂の温泉スタンドがヒットしました。
なるほど、意味は直感できて大変に判りやすい言葉です。
つまりはセルフサービスのガソリンスタンドのような施設があり、
そこから出てくるのはガソリンではなく、温泉の湯。
次いで温泉スタンドをキーワードにネット検索しますと、
あるわあるわ全国各地の方言です。岐阜県下にも各所にありますね。
尚、写真はリンク像です。当サイトに著作権はありません。
私、飛騨の在所に車で帰る時は下呂はバイパスを利用して素通りです。
列車で帰る時、下呂駅に停車する列車の車窓からはくだんの温泉スタンドは見えません。
道理でこのような施設がある事を今まで知らなかったのでした。
下呂で下車して用事で水明館に行った事もあったが、うーん、気づきませんでした。
つまらない前置きはさておき。
面白い結論から行きましょう、温泉スタンドという言葉が微笑ましくも実はおかしい理由です。
ガソリンスタンドという言葉がそもそも和製造語である事がひとつの理由です。
英語では gas station, gas stop などと言います。
米国ではタクシー用のプロパンガスを売っている訳
ではなく、gasoline を省略して gas と言うのが普通なのです。
ですから米国流に表現すれば hot-spring station 温泉ステーション、という
言葉が良いのでしょうかね。
ところが日本語では温泉ステーションとは温泉駅、まさに
JR下呂駅そのものになっちゃうじゃない、ふふふ。
全国では国道沿い・道の駅そのものになる場所もあるでしょうね、ははは。
また若し英語では gas stop なら、温泉ストップはどうでしょう。
そこですかさずネット検索です。
するとまた出てくるわ、出てくるわ、事故により温泉の給水が止まってしまったという
各地からの新聞記事です。
旅館組合様の悲鳴、というよりは入浴中のお客様方の悲鳴を感じてしまいますね。
つまりは英語で stop といえば、ちょいと立ち寄るという意味なのです。
バスがちょいと停止する場所、バス停を英語では bus stop という訳です。
ところが日本語です。新幹線のぞみが名古屋駅でストップした、といえば
順調に運行しているのぞみが名古屋駅にちょいと停止した、という意味
ではなく、名古屋駅でどうにもこうにも動かなくなった、という意味に
なってしまうでしょ。従って、温泉ストップ、は旅館組合様の忌み言葉
であるのみならず、利用者にとっても誤解される言葉という訳です。
ええい面倒くさい、全て日本語で行きましょう、温泉自動販売機で
どうですか。確かにネット検索しますと若干数だけヒットします。
がしかしその人気のなさ、やはり日本人の心に響く言葉は
温泉スタンドなのですね。
ところがまたここで実はひとつの落とし穴、直訳して hot-spring stand と若し言えば、
油井(gas stand)転じて、温泉採掘現場の意味になるのではないでしょうか、ふーっとため息どこまで続くぬかるみぞ。
やはり無難にいきましょう、温泉スタンドを外人さんに説明したい時は
やはり hot-spring station or hot-spring stop と言ってくださいね。
やったあボーリング大成功なら hot-spring stand と言ってください。
追記 米国人(?)David Kilburnさんが日本の自動販売機事情について
If it sells, Vend it!
という記事を書いておられます。
温泉の湯まで売っている日本人てのは一体全体、と書いてありますので、
温泉スタンドに相当する単語が英語にはやはりないんですね。
私が彼に日本語の意味を、彼が私に米国人なら考えるこんな表現を、
とお互いに教えあって笑いあいたいですね。
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