大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

うめぼとけ・飛騨方言

戻る

草木の呼び名は実は飛騨の中でも村々によってかなり異なる可能性 があるのではないでしょうか。 あるいは名前のない草木すらあるのでしょう。 勿論、どんな草木にも学術名はありますが、村の生活で 特に生活に関係ない野に咲く花にどんな名前があろうと無かろうと、 はたまたそれが隣村で何と呼ばれようと、あるいは都会では 何と呼ばれようと。

以上が前置きで、梅もどき(梅擬, Ilex serrata )を 大西村の言葉で、うめぼとけ、と言うのですが、 飛騨の他の地域ではなんと呼ばれているのでしょうか。 また皆さんに質問ですが、ではなぜ、うめぼとけ、と 呼ばれるようになったのでしょう。

先ほど来、十分ほど考え続け、やはり確信に いたる結論がでました。これはやはり、聞き間違い、 が原因です。ほとけ、という言葉の意味をあれこれ 考えても語源には到達できません。うめもどき・うめぼとけ、 この両語はアクセントも同じであるし発音も極めて近似している、 という二つの点に着目すれば、聞き間違い、が語源である と結論せざるを得ません。

思うに以下の通りです。この花は勿論、古代から大西村に 自生していたのでしょうが、村人にとっては名無し草だったのです。 俳句の季語になっていますから、例えば松尾芭蕉が 大西村を通ったとしましょう、おおっこれは見事な梅もどきですね、 一句詠みましょう、とでも言ったとします。 これを聞いていた大西村の人達ですが、
えっ、今あの立派なお方がなんじゃら花の名前を いわさったぞ、やっぱなあ教養のあるひとは全部 知ってござるんじゃなあ、確かいま、うめぼとけ、って いわさったぞ、なるほど尊い名前じゃさ。
という事で、ある時代に外から大西村に梅もどきという 言葉がはいってきたその瞬間ですが、聞き間違えられて 以後現在に至るまで、うめぼとけ、と言うわけです。 うめもどき>うめぼとけ、という変化は何年もかかって 次第に変わってきたのではないでしょうね、おそらく。
おまけ
祖母が子守唄に歌ってくれた真室川音頭(まむろがわおんど) を思い出します。実は私は最近までこの民謡を、まぐろ川音頭 と勘違いしていたのです。 まぐろが川を泳ぐわけがない、と最近知らされた私です。 まだあるぞ、小学二年生の時でした。 1961年10月30日ノヴァヤゼムリャで、史上最大の水爆実験が行われたのです。 ラジオのニュースでソ連が大気圏内核実験をしたとの報道が。 びっくりした私は、ソ連が愛知県内で核実験したよ、と叫んで母親に抱きついたのでした。

ページ先頭に戻る