最近の読書

飛騨匠物語 ISBN4-336-04403-1

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私は多芸多才ではありませんが、趣味はそれなりに多いほうだと思っています。中学生時代からの趣味がギターですが、実は練習しすぎで左手首の病気、手根管症候群、を患い、おくつ整形外科クリニックの奥津一郎先生に緊急手術をしていただき、岐阜県可児市から東京へ新幹線通院していた事がありました。以後、エレキはやめてクラシックギターを弾いています。2005−8年辺り(52-55歳)はアマゾンやヤフオクで飛騨方言に関する書籍を探しまわっていました。そして突然に中断。今は66歳ですが、読書ならば体を壊す事はないので、昨年(2019)末辺りから方言学に関する書籍漁りを再開しています。

表題の本ですが、アマゾンでみつけて三日前に入手し、昨晩に読みました。ネット情報がほとんどない同書ですが、石川 雅望(いしかわ まさもち、宝暦3年12月14日(1754年1月7日) - 文政13年閏3月24日(1830年5月16日))作の読本(中国の白話小説の影響を受けて江戸時代後期に流行した伝奇風小説集。寛政の改革以降流行し、文化文政の頃全盛となり、明治になっても活字本として流布し読み継がれた。)という事です。出版元は「国書刊行会」です。実は訳者・須永朝彦となっていて、江戸時代の文語、というか歴史仮名遣いとは言え、重要単語はその注釈をカッコで文中に埋め込んだ形になっていますので、古語辞典の助けを借りする事なくスラスラと読み通す事が出来ました。六部作で厚さ2センチに及ぶ作なので読了するのに幾晩もかかる可能性を覚悟していたのですが、読み始めたらあっという間に本の世界に入り浸り、四時間ほどで読めました。

簡単に粗筋を、・・いつの時代だったか飛騨の名工・その名も猪名部(いなべ)の墨縄(すみなわ)がいたのです・彼は一人の弟子・その名も竹柴の山人(やまびと)をとり、都で数々の造営・数々のからくり作品を作り、朝廷の信頼を得るのですが、よりによってイケメン君の山人と帝の姫君様が恋に陥りかけおちしてしまうのです、それを墨縄が陰ながらに支え、恋愛成就・ハッピーエンド、つまりは夫婦となり東国で幸せに暮らし夫婦は百歳まで生きたという、つまりはハーレクィーン・ロマンスそのものの小説でした。残念ながら飛騨方言は一文字も出てきませんでした。でもないかな、黙々と何時間も江戸時代口語の語り草を読んでいると、これがなんともはや、飛騨方言の語り草と錯覚してしまうような、不思議な感覚に襲われてしまったのでした。何度も繰り返し読んで内容を熟読玩味するような内容ではないので、いずれ地元の図書館に寄贈するつもりですが、妻と娘達には、もし私が急死したら蔵書は全て私の故郷・高山市図書館に無名で寄贈してくれ、と言い含めています。

さて、皆様はカーリルはよく利用しておられますか。全国7,200以上の図書館からリアルタイムの貸出状況を簡単に検索できるサービスです。国立国会図書館が同書を所有するのは当然として、2020/5/24現在、日本はコロナパンデミックで全国の図書館が閉館となっていて、カーリルの運用も開店閉業の状況です。数週間後には再開されると思うのですが、一刻も早く再開して欲しいですね。尚、同書は葛飾北斎の挿絵が満載で、これを見ているだけでも実に楽しい本です。蛇足ですが、江戸時代に出版された時は「斐陀匠物語」となっていたのでした。という事で、実は・・内容すべてがネット公開されていたのでした。

国立国会図書館デジタルコレクション「斐陀匠物語」

ハッピーエンドゆえ、どなた様も安心してお読みいただけますが、つまりは・・私のような男だてらにハーレクィーン・ロマンスや宝塚歌劇等、乙女チックな戯曲が大好きなお方は是非ともお暇なおりにクリックなさいませ。あなたのような飛騨のご出身の女性で(あるいはそうでなくても)『私もお姫様になりたーい』願望の女性にお勧めです。蛇足ながら石川雅望は狂名が宿屋飯盛(やどやのめしもり)、そうです、日本史や古典で有名なあのおかたです。

本日も駄文を最後までお読みくださいまして本当にありがとうございました。

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