大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
どうしたんやさ |
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私:昨晩だが、偶然に発見。飛騨方言の誤用。 君:全国の皆様にわかり易くお話しなさったほうがいいわよ。 私:お安い御用だ。表題の台詞だが、ネットからまとまった情報が得られる。いずれリンク切れ、リンクは張らないでかいつまんでお伝えしよう。 君:では、お願いね。 私:うん。「最愛」の方言が可愛い!ドラマ内で出てくる岐阜の飛騨方言 ..という事で、飛騨を舞台にしたテレビサスペンスが最近、放映され、梨央が「どうしたんやさー、急に」と理由を問うシーン、松下洸平さん(宮崎大輝)の「好きやよ」も可愛い・・という事で全国の視聴者の間で飛騨方言萌え現象が起きたという事。ただし、言い方に違和感という事で地元のネット発信者からは大ブーイング、そんな言い方はしません、あれは飛騨方言ではない、という苦情。 君:要は方言監修が間違っていたという事なのね。 私:そう、僕としてはそのように考えざるを得ないが、なにせ僕自身が飛騨を離れて五十年、最近の飛騨の若者の言葉使いを知っているわけではないからなあ。間違いだ、と断言も出来ないが。 君:でも他ならぬ飛騨のネット発信者からの苦情があったのでしょ。なにもあなた、方言監修者にご遠慮なさる必要はないわよ。いいから、なにが間違った言い方なのか、簡単に説明してね。 私:最初の四文字「どうした」でこれは疑問文で決まりだ。ところが飛騨方言文末詞「やさ」は確定表現にしか用いられない。「やさ」の語源は「ぢゃ・さ」、つまり断定の助動詞に間投助詞「さ」を付加したもの。疑問文の文末が断定表現というのは論理が破綻している、という事。「これは少しもおいしいです」という日本語が間違いであるのと同じ理屈。「少しも」がくれば必ず否定文で係り結び、が正しい日本語。 君:でも関西漫才ではギャグで使うわよ。 私:そうだね。「やめてよ!気持ちいい!」とかね。 君:正しい言い方をお示ししてね。 私:どうしたんやな?が一般的な言い方。男性の役割語としては、どうしたんやい?、があるし、女性の役割語としては、どうしたんやいな?、がある。 君:女性が、やい、を使ってもぶっきら棒な言い方にはならないのかしら。 私:全然。むしろ上品な言い方とも言えるね。どうしたんやさ、は言語学的には撞着語法(どうちゃくごほう、英語: oxymoron)という。単なる言語ではなくエピ言語と考えると、此の言い方はまんざらでもない、と僕は考える。ただし、飛騨方言の話者にはこの表現に違和感を感じている人が多いという事実を方言監修者は反省して欲しい。 君:せっかくだから撞着語で終わったらダメ。 私:その言い方、既に撞着語。撞着語とはね、冷たいホットケーキ、とか、丸い三角、とか、白い赤橋、とか。 君:そんな事、どうでもいい。これって、正しくは、どうでもよくない、よね。 私:どうでもいいよ、そんな事。 君:どうでもよくないわよ。ほほほ |
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