大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

童謡と絵本の薦め

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私:今日の話題は音楽もテーマですから楽しいですよ。
君:ほほほ、飛んでる男のだしかんソングね。
私:いえ、昨日だがフト気づいた事について。
君:わかったわ!じゃあ特定の曲の歌詞の事ではなく音楽全体、つまりはメロディー、アクセントの事ね。
私:ははは、その通り。ところで飛騨方言は純東京式内輪系の高低アクセントである事はご存知だよね。
君:ええ、日本語は全て高低アクセントであり、東京式もあれば、畿内式、崩壊アクセントもある。
私:その通り。ところでメロディーというのは音の高低かな、強弱かな。
君:わかったわ!つまりは話し言葉は地方によってアクセントが違うけれど、歌詞は全国共通であり、またそのメロディー・つまり高低は話し言葉の高低とは無関係なのよね!
私:ははは、その通り。簡単な例から行こう。
ちょうちょちょうちょ菜の葉にとまれ。
▼○○▼○○▼○○○○●●。
これは話し言葉だよね。飛騨方言だから東京式だ。
君:ええ、ならば歌では・・・ちょいとハミングしてみようかしら・・
ちょうちょ♪ちょうちょ♪菜の葉にとまれ
▼○○♪▼○○♪○●●●●●●♪
こんな感じよね。
私:ははは、いいぞ、その通り。菜の葉に止まれ、という歌の部分は話言葉と完全に逆の音のあげさげだよね。話し言葉だって音のあげさげでアクセントをつけているのにね。
君:でも、ちょうちょの歌を歌ってメロディーに違和感を覚える日本人もいなければ、歌詞の意味がわからない幼児もいない。幼児が歌を歌うというのは、実は言語中枢が直接に刺激されているのではないって事だったのね!!
私:そうなんだよ。音楽の中枢があって、そこから歌詞の部分を抜き出して、それを言語中枢に送って、まずは日本語に解釈して、日本語アクセント表も総動員して、日本語の意味づけをして、歌っているんだ。
君:幼児が歌詞を理解しながら歌を歌っている現象は実はとんでもない複雑な脳の働きのようね。
私:その通りだ。童謡の薦めと絵本の朗読の薦めだね。
君:ほほほ、胎教は行きすぎかしら。日本語を知らない胎児に童謡を聴かせても意味がないのかしらね。
私:そんな事はないよ。胎児は聴いている。聞いてはいませんがね。大人に心地よい音楽は胎児にも心地よいに違いない。
君:なるほど。幼児になって語彙が増えてくれば心地よい童謡は更に幼児には好ましいというわけよね。
私:そうだ。ところで、最近、私は家内から音痴だと言われてショックを受けてしまった。
君:ほほほ、ギター野郎が音痴ではねえ。具体的にお話しくださいませね。
私:岬めぐり、という昭和の歌謡があるんだ。好きな歌だね。
君:つまりは、歌詞は正しいがメロディーが違うと言われたのよね。
私:そうなんだ。あなたがいつか♪という出だしは私には強烈な印象すぎて、ふたりでゆくと♪、くだける波の♪等々も同じメロディーで歌っていたのですが、家内には受け入れらなかった。
君:知らない歌だから私はご夫婦のどちらが正しいか判断できないわ。
私:CDを買って来て聴きました。やはり私の記憶のメロディーは間違っていた。記憶力は家内がうわてだ。
君:岬めぐり、という歌にかける情熱は貴方がうわてよ。ほほほ
私:ところで上田敏の海潮音、山のあなたの空遠く「幸」住むと人のいふ。について語ろう。
君:上田敏がどうかしたの。
私:ははは、昔ね、やまのあなあな、なんて茶化した芸をした噺家がいたんだよ。
君:そして、岬めぐり、との接点は?
私:話し言葉では、あなた(貴方)○▼○、あなた(彼方)▼○○。だからアクセントはあべこべでしょ。でも歌のメロディーはあなた(貴方)▼○○、です。
君:誰もがメロディーの音のあげさげは話し言葉のあげさげとは正反対な事があっても違和感なく歌っている、という事ね。脳の複雑なリアルタイムの翻訳機能があってこそ歌の意味を理解しながら歌う事ができる、という事ね。いやあ、気が付かなかったわ。

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