大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
これでいいのか日本語アクセント(2020/12/27) |
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手元には昨日までは二冊のアクセント辞典、三省堂・新明解日本語アクセント辞典2006.3.20第10刷とNHK出版・日本語発音アクセント辞典2007.5.5第32刷、があったのですが、最近にNHK版が改訂された事を知り、本日は書店で目に留まった事もあり、買い求めました。2016年版、18年振りの大改訂と帯紙に記載してありました。つまりは新旧のNHK版ですが語数は共に七万五千で同数ですが、新版では最近の言葉を取り入れ、古い言葉を削除し、入れ替わりが企画されました。ですから新版は最新のアクセント体系を知る事が可能で極めて実用的ですし、その一方で手元に旧版もあるという事は、なるほどここ二十年ほどで日本語のアクセントがこのように変化して来たのかなという事が比較検討できるという訳で、手元に出版年が異なる複数のアクセント辞典がある事は私にとってはこの上なく有難い事です。 日本語アクセントの最近の特徴としては三拍名詞に顕著かと思いますが、頭高が中高、はなはだしくは平板・尾高になってきたという事でしょうね。電子メールが始まったころはメール▼○○と言っていたのに、今では◯●●です。「彼氏」と言う言葉もかつては▼○○のアクセントでしたが、今や若者の間では◯●●です。しかしながら「彼氏」のアクセントに関しては、これも日本語文化、日本語そのものという事で、私はここでとやかく言う気持ちはありません。 問題なのは「メール」のアクセントに端的に表れているように、最近、盛んにテレビ等で耳にする事が多くなった英語の日本語読みです。NHK新版の中から具体例と参りましょう。「マニフェスト」が採択されていました。なんとこの語が既に中高で「フェ」にアクセント核があるのが日本語だそうな。「マニュアル」という言葉も平板アクセントになっていました。なんともはや。それでも日本人が日本人に話す場合は良しとして、英語のアクセント i.e., ma'nifest and ma'nual とは明らかに異なるアクセントを覚えてしまった子供達が、中学生になり英語を習い始めたり、あるいは大学を卒業し、いよいよ外国人を相手に丁々発止で英語を武器に仕事をしないといけなくなる時にこれは大変だろうな、と考え込んでしまいました。 日本人がいくら正しい発音、いわゆる巻き舌、をしようと思っても限界はありますので、この際はあきらめましょう。ただしアクセント位はせめて英語にあわせて発音したほうが欧米人の評価は俄然、違ってくるのではないでしょうか。小学校で簡単な英語を教えるご時世だそうですが、まずは外来語、特に英語から来ているカタカナ語のアクセントは英語にあわせるべしという教育施策が必要なのでは、と感じます。 日本語が海外で用いられる機会も増えました。東北震災の時に世界のニュースキャスターがお伝えになった言葉が「ツナミ津波」です。名詞+二拍の和語名詞の場合は平板という規則があるので津波のアクセントは平板ですが、その一方、英語ではわけのわからない言葉、聞きなれない言葉は二拍めにアクセントを置くという規則があり tsuna'mi と発音する報道ばかりだった記憶があります。要はお互いさまという事なのですが、英語に関しては多勢に無勢、国際社会においてはおとなしく英米人のアクセントに従って発音したほうが得策というものでしょう。 本日の結論、英米人が自国語のアクセントを変える事は無いが、日本人は英米の外来語のアクセントを頭高から中高・平板へと、ドンドン変えてしまう。これが日本語の特徴。でも、これを国語教育、特に初等国語教育でなんとか矯正できないものでしょうか。 |
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