私も朝から晩まで働いていますので実は
一日の大半において職業語を選択している事に気づきます。
これが尾を引いて日常語がついつい職業語、つまりは共通語になってしまう
のです。ですから同郷の人と日常語を話す時は共通語でスタートする、
つまりはお互いに職業語で話していても、ついつい方言が出る、
やがて最後は二人とも百パーセント日常語、つまりは方言丸出しの
会話になってしまうという事ですね。
不特定多数の方を相手とする職業、あるいは折り目正しさが求められる
職業となるとやはりキチンと共通語を話すしかありません。
また逆にどうでしょうか。
職業語として方言のほうが俄然、有利な場合もあります。
★私が若し仮に高山市の観光みやげ物店の売店に勤める事になったとすれば
やはり飛騨方言丸出しで応対したほうが売り上げは伸びるかも、
★あるいは一念発起して佐七が朝市でおばちゃん達に混じって
野菜や漬け物を売る生業を始めたとしたら、威勢良く飛騨方言で
まくしたてたほうが売り上げがいいかも知れません。
つまりはみやげ物店の売り子さんも朝市のおばちゃん達も
職業語を話しているのです。
それがたまたま日常語に一致しているという事です。
★あるいは都会でのビジネスですが、職業語は必ず共通語でなくては、と
考えていても例えばお客さんが同郷であると知った瞬間に、共通語よりも
飛騨方言のほうが相手の心をつかめるかも知れないと判断し、
すこし飛騨方言を交えてみたり、というのは必要な話術ではないでしょうか。
★方言を売りにしているタレントさんについては言わずもがな、
職業語というよりは方言が芸という事ですね。
つまり、みやげ物店の売子さん、朝市のおばちゃん、方言タレントさんの
場合はお客さんは多分共通語が日常語です。
そしてお客さんは彼らのひなびた田舎言葉を聞きたくて
お見えになったかも知れないからという事で
彼らは職業語としてアンチ共通語の(飛騨)方言を選択しているのです。
逆に、都会でのビジネスではお客さんが同郷であるなら、
売り子さんの本音は同郷の(飛騨)方言を武器に親密になったほうが売りやすいという訳です。
客相手つまりは話術が商売の場合は
相手がこちら側に対して
希望しない言語になってしまってヘマをしてはいけません。
希望している言語を使ったほうが商売はやりやすいし、
そして相手が希望する言語は瞬時に変わるかも知れません。
常に相手の目を見て相手の好きな言葉でうんと喜ばせましょう。
臨機応変が大切です。
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