大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

あけす(=とんぼ)

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飛騨方言でトンボの事を、あけす、あるいは、しょうらい、などと言うのですが、令和の時代にはほとんど話されていないのでは、と推察します。昭和時代までの古い世代の言葉という事でしょうね。今、語数15万語の小学館・標準語引き日本方言辞典を読んでいるのですが、トンボを意味する方言は、ざっと全国で百通りほどですが、私なりに、幾つかに分類可能でした。

★秋津を語源とする語彙。あーけ、あけ、あけず、あげちょ、等々。
★蜻蛉を語源とする語彙。しょーりょー、しょーろ、せーれー、等々。
★トンボを語源とする語彙。とんば、どんぶ、どんぶむし、等々。
★その他。きりがありません。

トンボの語源をまずは知りたいところですが、東京堂出版語源辞典(動物編)によれば、飛羽(とびは)、飛坊(とびばう)、飛炎(とびほ)、飛降(とぶり)などの諸説があり、と、は飛ぶに由来する事は間違いないようですね。

あけす、の語源が秋津にある事は異論がないでしょう。では秋津の語源は何でしょう。これは大和時代の地名・秋(津)が語源だそうです。それが敷衍して、日本全体、或いは大和の国の事を秋津島(秋の島)と言うようになったのでした。ちなみに当時の言葉、津、は上代の格助詞にて、天津神(天の神)、沖津白波(沖の白波)等の語彙をはじめとして、まつげ(目の毛)という現代語にも上代の格助詞は生きている事に私は感動を覚えます。

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