大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
へっとり(=うすべり薄縁) |
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私:今夜の話題はあっさりとした内容です。 君:ほほほ、ヘットリの語源はあっさりと、と言う意味ね。 私:それ以前の問題として、うすべり、といってもキョトンという人が多いのじゃないだろうか。 君:あら、畳表に縁(へり)だけをつけた敷物の事ね。洋風のご家庭を手っ取り早く和風にするという事で、通販などでも手に入るわよ。 私:そうだね。香をたくお遊びなどをすれば気分は平安貴族。 君:本格的な畳と違い、薄いヘリだからウスベリね。クルクルと巻けるし、便利だわ。 私:薄縁は広辞苑に記載があったが、流石にヘットリの記載はなかった。 君:いいからヘットリの語源をお披露目してくださいな。 私:へりとり縁取、からきた言葉だ。ヘリトリは全国の方言。といっても小学館日本方言大辞典の記載ではヘリトリは新潟、飛騨、静岡のみ。ヘットリは新潟、富山、石川、岐阜県のみ。 君:なるほど、飛騨と新潟はヘリトリ・ヘットリの両語ありの地域なのね。ウスベリ薄縁もヘツトリ縁取も、同意にて、要はヘリに布を用いる事からきた言葉。そうすることにより、むしろ筵には無い高級感を出す目的で作られたのよね。 私:その通り。両地方は大変に貴重な地域です。なにせ日本で唯一無二、ヘリトリ・ヘットリ両論併記の地域なのだから。 君:何を馬鹿な事をおっしゃるの。たまたまでしょ。 私:その通り。新潟、飛騨、静岡は地理的にも文化的にも何のつながりも無い。 君:それって、方言学でなんとかいったわね。 私:当サイトでは時々、出てくる学術語で、孤立発生論だ。つまりは人間の言語感覚は元来は素朴な物なので、方言がそのいい例、つまりは日本人として発想が同じなので、別々の場所に偶然に同じ言葉が生まれてくるという理論。 君:その逆が蜩c國男の方言周圏論よね。 私:そう。言葉は都で生まれて同心円状に徐々に地方に分布していくというもの。おおよその速度もわかっている。多くの言葉は年速一キロメートル。つまりは一世紀で百キロ運ばれる。 君:ではおしまい。 私:今、NHKアクセント辞典をみたら、ウスベリは平板アクセントだった。飛騨方言ヘットリも平板アクセント。なんかおかしいと思わないかい。 君:二拍名詞が二つの複合語。へり縁にアクセントがあったりなかったり、という事ね。 私:その通り。言語学でいうところの右側法則ってやつだな。ところで貴重な動画を発見した。筵の編み方。歌は赤いランプの終列車(春日八郎)だな。ぶっ 。 君:あら、懐かしいのね。 私:俺んち、代々が農家だったからなあ。筵編み機も縄綯い機もなんでもあったんだぜ。 君:以前に言ってたわね。農家の長男はいやだ、都会に出るのが左七君の子供の時の夢だったって。ほほほ |
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