大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

じすがり(地蜂)

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私:今夜は飛騨方言・ジスガリについて。アクセント核がガの中高じゃないかな。突然に思い浮かんだ。
君:あなた、実は酔っているのね。いったい自分・左七の頭にはどれだけの飛騨方言が詰まっているのだろうかと、一人、思索にふける。
私:ははは、バレたか。うさぎ美味し・かの山、小鮒釣り師・加野川。うさぎの肉はたしかにうまい。それに加野川って苗字だったのか。
君:ふざけないで、本題を簡単にお願いね。
私:ほいきた。飛騨方言ジスガリの語源は、実は和語「すがる」。
君:和語と言えば記紀?
私:いや、万葉集1979。春之在者 酢軽成野之 雀公鳥 保等穂跡妹尓 不相来尓家里
君:うーん、パッと思いつかない。
私:春されば すがるなす野の ほととぎす ほとほと妹(いも)に逢はず来にけり。
君:かなりディープな話になったわね。酢軽は「すがる」の事ね。
私:そう。
君:万葉仮名は当て字のオンパレードね。つまりは古代の音韻・スガルが存在した。それは地蜂の事。
私:要はそういう事。
君:歌意をお願いね。
私:早い話がラブソング。春が来ると地蜂が音を立てる野のホトトギスよ、(といえば)ほとほとあの娘に合わずに来るところだった。「ほとほと」は「ほとほと手を焼く」などという言い方があって、現代語では「本当に・トコトン」という意味だが、上代の「ほとほと」は「あやうく・もう少しで何かをするところだった」という意味。つまりは枕詞がやたらと長いラブソング。危うく君に逢わずに帰ってしまうところだった・(つまりは)君に逢えて本当に僕は幸せだ、というラブソング。それに万葉集にスガルが何首か出てくるがハチというよりは美人の代名詞だ。
君:蜂が美人の代名詞?
私:ずばり、ウエストだね。腰の部分できゅっとしまった地蜂。スガルヲトメ乙女の歌もある。万葉集1738。この歌にはコシホソ腰細の言葉も。漢籍の影響だそうだ。
君:万葉の時代も今の時代も全世界的に美意識って変わらないのね。
私:そう、美人の第一条件は、腰がきゅっとしまっていないとアウトという事。メタボの女性に恋のゲームに参加する資格は無い。
君:ほほほ、それはよくわかりますけれど。それは置いておいて、飛騨方言ではスガルに接頭語・ヂ地を足しちゃったのね。ほほほ

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