大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

かちん(=餅)

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私:餅の事を飛騨方言では、あっぽ、かちん、おかちん、などと言うね。
君:アッポは幼児語で、カチンは女房詞だわね。
私:うん。飛騨方言に女房詞が残っている意味がよくわからないのだけれど、女房詞とは室町辺りに宮中の女官が用いていた、所謂、上品な言い方、判じ物の言い方、という事。同語は全国の方言になっている。仙台では、おかち、と言うらしい。飛騨方言では他に漬け物の事を、かっこ、とも言うが、京言葉・おこうこ(香のもの)からきた言葉だろう。
君:カチンの語源は女房詞、では語源の説明にならないわね。
私:諸説あるようだが、かちいひ、から来たのではという定説がある。つまり動他下二かつ「搗・合」の連用形カチ+いひ飯。
君:女房詞なら、かちいひ、は、かもじ、にならないかしら。
私:ふふふ
君:えっ、しまった。とんだ失言ね。女房詞の、かもじ、といえば、かみ髪、の事だわ。
私:かもじ髪が既にあったので、かちいひ、は別の言葉にする必要があったという事かもね。単なる想像だが。
君:語誌は?
私:海人藻芥(あまのもくず)は、日本で室町時代に編纂された、鎌倉時代末から室町時代に及ぶ僧俗の有職故実の書。これに初めて、かちん、が出てくる。ただし当時から既に語源は不明という事になっている。かちん、は江戸時代には落語のネタになり、庶民の間に広く流行した話を集めた笑話集『醒睡笑』に出てくる。著者は茶人や文人としても知られる京の僧侶、安楽庵策伝。写本8巻8冊、1,039話の話を収録。
君:えっ、読んだの?
私:いえ、読んでいません。詠みたい気持ちはたっぷりあります。ただし、結論は見えている。つまりは古くから、かちん、の語源は諸説あり、結局は不明です。ぶっ
君:カチンと来たわ。きちんと読んでから記事を書いてね。

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