大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

きさくい(=きさくだ)

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私:さあ今夜も飛騨方言談義で大暴れ。
君:何を馬鹿なことを。形容動詞から形容詞への品詞の転成、つまりは少し訛ったというお話じゃないの。音韻コーナーに相応しいわね。
私:ふふふ。
君:えっ、まさか、何か?
私:そう、まんまとひっかかった。僕はそういう陳腐なお話を書く為に時間を費やしているんじゃないんだ。あれこれ、と言っても五分ほど、調べものをした。まずはヒント、「きさくい」は全国共通方言だよ。福島県東白川郡、岐阜県、和歌山県、山口県大島。
君:という事は古語に由来するのね。
私:ああ。いきなり結論だが、語源は形ク「さくい」だ。つまりは「きさくい」は「さくい」に接頭語「気」が付いた言葉、つまりは意味は「気がさくい」。「さくい」の古語の意味はあっさりしたさま、気軽な気性。狂言・末広がりに出て来る。浮世床にも出てくる。現代語としては死語で、動形タリ「きさくだ」に変化した。
君:うーん、一本取られたわ。品詞の転成は関係なく、単に古語の形容詞が飛騨に残っていただけ。中央に於いて形クから形動タリへの変化は近世から近代、という事だったのね。
私:ははは、お察しがいいね。些細な知識だが、おそらく全国の誰も知らないはず。つまりは本邦初公開という訳だ。
君:専門書は数あれど、そう言えば目にした事は無かったわね。
私:まあね。些細な事だから。ぶふっ
君:なんだか悔しいわ。
私:このまま終わるのも勿体ない。もっと言葉遊びをしよう。語幹を同じくする形容動詞でもある形容詞をあげてごらん。
君:ちょこざいな。暖かい、こまかい、柔らかい、・・・うーん、悔しい、後が続かないわ。
私:いや、優秀だね。それで出尽くしてるよ、と言いたいところだが・・。ふふふ
君:何よ、その言い方。・・・そうそう、黄色い、四角い、手荒い、手薄い、身軽い、欲深い。ふう、疲れた。
私:形・色なら幾らでも出せるね。まん丸い、真っ黒い、等々。ちょっとした変わり種としては形シク「おろかしい」がある。
君:果てしが無いわね。
私:結論を言おう。語幹を同じくする形容動詞でもある形容詞というのは、まずは体言(名詞)があって、これが形動ナリ・タリになり、やがて形クになる。例外中の例外が飛騨方言の形ク「きさくい」。なにせ逆だからね。
君:あなたのその気さくな言い方、実は私を馬鹿にして・ぐやじい。と言うのは嘘。好きよ。ほほほ

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