大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

のってでる(大活躍する)

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私:「のってでる」は飛騨の俚言だ。今、各種の方言辞典に目を通して確認した。古語動詞・自ラ四「のる反」が語源。「伸」「仰」の漢字でもよい。
君:つまりは「のってでる」は「金メダルを受賞する」と同じ意味ね。
私:そうだね。「大金星を取る」といったほうがより正確かな。オリンピックとは限らない。
君:死語に近いわよね。
私:だろうね。土田吉左衛門著「飛騨のことば」には「大奮発する。現状から一歩踏み出して頑張る」との記載があった。
君:自ラ四「のる反」について説明してね。
私:一般の古語辞典には記載が無いが、角川古語大辞典には詳細な記載がある。身を伸ばす、のけぞる、反り返る、刀が後ろのほうに曲がる、以上の意味だ。中世辺りまでの動詞で、日葡には noru の記載がある。現代語としては「そる反」だろうね。古語の用例も促音便で「のって」の文例があるよ。但し「刀がのる」とは「刀がゆがみ曲がる」の意味。合戦で大活躍であったのには違いないだろうが。全国の方言になっているのが「のっつそっつ反」。体を前に伸ばしたり後ろに反り返ったりする、の意味から、苦しみももがく・へとへとに疲れる、の意味のようだから、大活躍とは程遠い意味になるね。
君:「がんばりすぎる」というような意味かしらね。
私:金メダルをとった瞬間に精魂はてて崩れ落ちる様、と言う感じだね。今日はこのへんで。
君:あら、短いわね。
私:娘と孫が遊びに来た。記事を書いている場合じゃない。目を盗んで書斎に飛び込み、画面に向かっている。
君:あらあら、「いきなり素敵」ね。それじゃね。

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