大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

あじさい(紫陽花)

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私:さあ、今日は梅雨真っただ中、時節柄の話だ。
妻:あなた、雨なのにほんとお昼の散歩が好きね。
お帰りなさい。またやすらぎの森
私:ああ、そうだ。見晴らしの丘の眺めがいいんだ。御岳、伊吹山、金華山がよく見える。各務原、岐南町、大垣が見える。今日はあまりだったが。
妻:今の時期、アジサイが奇麗だったでしょ。
私:ああ、だから今日はその話題だ。
妻:またいつもの古語の話ね。
私:ああ、そうだ。方言学とはそういうもの。
妻:それで、古語は?
私:「あづさゐ」「ななへんげ七変化」だ。
妻:七変化は色の変化からね。説明不要だわ。
私:紫陽花の/八重咲く如く/やつ代にを/いませわが背子/見つつしの(思)はむ/橘諸兄/万葉集巻20−4448、「あづ」は集まるの意、「さゐ」は「さあい」真藍の省略、橘諸兄(たちばなのもろえ)か、奈良時代の皇族だね。僕は日本史で受験した。[せこ背子]は男性を敬う言葉だね。天然痘が大流行し太政官の仲間が次々と死んでいく、残るは鈴鹿王と橘諸兄のみ、二人だけで必死に国を支えていた時に詠んだ歌じゃないのかな。泣けるね。古語辞典に記載は無かった。日本語源大辞典(小学館)の内容だ。
妻:それで、アジサイの方言って全国的に多いの? 少ないの?
私:それはとても良い質問だ。一般論としては植物語彙は大変に多い。方言だらけだ。特に特定の草木で全国的に何百という方言というのもある。それら横綱級の草木だが、例えば「いたどり虎杖」「かたばみ酢漿草」「さつまいも」「ジャガイモ」「トウモロコシ」等。私の別のお宝が日本植物方言集成「八坂書房」に千ページ、ぎっしりと植物方言が書かれているよ。
妻:じゃあ日本方言大辞典より華麗な世界なのね。
私:勿論だ。日本で唯一無二の方言書籍だろう。
妻:じゃあ、その本でアジサイの方言量は?
私:59個だった。飛騨方言のもひとつあったよ。
妻:大雑把に系統づけられないの?
私:とても良い質問だ。てまりになぞらえた言葉が最大派閥で15個あった。七変化系統つまり色に着目するのも多い。ざっと10個。新潟じゃ七面鳥だそうだ。
妻:切りが無いわね。飛騨方言は何?
私:「やまたばこ」だよ。いったい何の事かと思ったが土田吉左衛門・飛騨のことば、に「葉を刻んで煙草の代用、戦時中に多く用いた」との記載だ。つまりは昭和の極めて新しい方言だが、既に死語になっている感じだね。それでも方言は方言だろう。土田辞書には「やまたばこ」「やまたぼこ」の二つの記載があった。ついでに煙草を調べたら「たぼこ」「たわこ」の二つがあったが「やま」+「たわこ」は方言として成立しなかったようだね。
妻:戦時中だから全国の男性が山煙草をやってらしたのじゃないの?
私:Who knows? I said only how.あれぇ恥ずかしい。文献やと飛騨だけなんやさ。飛騨の男衆ぁニコチン中毒かよ。どいんじゃ(どういう了見だ)。酒と煙草がない時ゃあなぁ、なんてったってドブロクやさ。飲ままいが、御亭!
妻:タンポポコーヒーと同じ世界よね。ところで地味すぎるサイト名、変更したほうがいいわよ。「どいんじゃ?!飛騨弁」とか。

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