大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

けいちゃん

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私:今日は古語辞典、方言辞典は不要、俗語のお話にしよう。今日はね、いつもながら家内と近くのスーパーに行った。
君:ほほほ、飛騨の郷土料理「鶏ちゃん」のレトルトパックね。
私:ああ。実は二種類の商標が目に留まった。「ケイちゃん」「ケーちゃん」。
君:別の会社の商品ね。
私:勿論。あまり全国的には知られていないかもしれないね。博多ホルモン焼きなんてのは有名だが。
君:鶏肉、キャベツ、味噌があれば鉄板でグツグツと炒めるだけ。家庭の味よね。レトルトを買わなくても作れるわ。
私:子供の頃の思い出だが、鶏を殺生するのは家長の仕事。
君:遠くで怖いもの見たさの子供ね。ほほほ
私:村にスーパーは無いし、家庭には冷蔵庫は無い。牧歌的な生活だったな。
君:今の時代、スーパーではきちんと商品化されたものが並べられて。
私:つまりは、生産者の方々に感謝する気持ちが大切だ。それに「鶏ちゃん」は美味しい。
君:ホオバ味噌と比べて、好みはどう。
私:ホオバ味噌は日常の料理。「鶏ちゃん」は贅沢料理。
君:断然、後者ね。
私:ああ。ところで、商標が二種類の話に戻ろう。
君:つまりは購買層は地元飛騨、あるいは岐阜県。面白い事に岐阜県民の心に響く音韻は「けいちゃん」でなくてはだめなのよね。
私:そう思う。子供の頃だが、今夜は特別に「ニワトリ料理」「トリ料理」なんて言っていたと思うのだが。やはり飛騨の人間には「けいちゃん」の言葉がほっこりするね。
君:ネットに「けいちゃん」の情報が散見されるわね。戦後、1950年代から下呂市の萩原町から「けいちゃん」の名前で広まったらしいのね。
私:方言周圏論から各種の言葉の伝搬スピードが計算されているが、ざっと年速1km。つまりは一世紀で百キロ。
君:ほほほ、1953生まれのあなたが物心ついたころ、小学低学年に知った言葉「けいちゃん」。萩原・久々野間は30キロほど。地を這って来た言葉にしては昭和の時代はスピードアップしてるわね。
私:方言学的には萩原・久々野間は距離が無いに等しいね。鉄道もあるし、車の往来も多い。更には今のネット時代は最早、伝搬スピード自体が死語だろう。
君:「けいちゃん」は「とんちゃん」からの類推よね。
私:そうだね。「ホルモン」という言葉は好まれなかったようだ。「みそ焼き」といえば「ホオバ味噌」に決まっているし。ところで冒頭のスーパーの話の続きだが、郡上にある「明宝ハム(めいほう)」「明方ハム(みょうがた)」、この二つの商標も紛らわしいね。
君:わざとではないと思うけど。
私:隣国・中国に高級セダン Maxus がある。これってトヨタ Lexus と肩を張ろうという意味だろうか。
君:上海の空港に Channel 5 の化粧品があったわ。シャネルじゃなくて、チャンネル・ファイブ。
私:間違えるほうに責任があるという訳だね。明らかに異音語なのだから。
君:思い込まなければいいのよ。
私:心ここにあらざれば、見れども見えず。
君:大学 伝七章、心不在焉、視而不見、聴而不聞。
私:その心は・・ It's your fault. Please buy any items at your own risk. 漢文もめちゃ好きだったな。白帝城を訪れた事がある。石碑にビッシリ。華麗なる漢文の世界。江戸時代までは皆がそうしてた、やはり日本人は漢文から学ぶべき。話かわって、電子書簡の話題にしよう。僕は仕事では 或るメアドを使っている。サーバーは第三セクターの可児市のケーブルテレビ局。市がついているので消滅する事は無い。がはは
君:メアドがどうかしたの。
私:すごいと思わないかい。登録の条件は半角八文字だ。
君:あらら、運よくそれを手に入れる事が出来たわね。日本で四番目に多い、ありふれた名前なのに。
私さういふ医者に私はなりたい。
君:ほほほ、宮沢賢治。
私:無名の人間である事に幸せを感じている。でも商標を手に入れた苦労話をしよう。今こそ情報開示に踏み切る歴史秘話ヒストリア。
君:あら、いやだ。抽選ではなくて。まさかコネを使ったとか。
私:ははは、抽選なんかあるわけないし、コネも。要はフェアプレーにて作戦勝ちの逸話だ。
君:ほほほ、フェアプレーなら全国の皆様にお披露目できるわよね。では情報開示お願いね。
私:うん。ありふれた姓なら誰もが欲しがるこの最高級価値の商標手に入れるには「早い者勝ち」のルールを理解していた事。
君:早い者勝ちなら、或る意味、公正だわね。
私:ネットが普及し出したころ、ウインドウズが普及し出したころの話。
君:古い話ね。
私:可児市から広報にて情報発信があった。全国に先駆け、ケーブルテレビ事業を開始する。ケーブルによるネット事業も同時に開始すると。
君:へえ、可児市が全国で最初のケーブルテレビだったのね。
私:そうなんだよ。余談だが日本で初めて電子投票を試みたのが可児市。ところが集計結果があいまいさを残し、遂には最高裁で争う羽目に。しかも可児市の敗訴が確定。これには僕も茫然自失。危うし鈴木市長。ううっ、皆が一丸となって頑張った日本初の電子投票だったのに。それはさておき、可児市は当時の地方自治体として先駆的そのもの、ネット事業参画により、メールサービスも開始すると宣言。やるう。
君:なるほど、そこへ吾が背が一番乗りで登録してやろうという作戦ね。
私:その通り。然も天は初めから我に味方した。当時の世間はインターネットがまだほとんど普及しておらず、ケーブルテレビとはなんぞや、国民の皆様があまりご存じなかったんだよ。作戦は容易だったし、勝利を信じて疑わない楽な戦いだった。がはは。でも悲しいかな、僕には半沢直樹のような負け戦さに挑む勇気が無い。実は生まれつきです。致命的だ。
君:何いってるの。貴方は世間様より並外れて情報感受性が強かったのよ。あなたは情報収集家。ドラマでは及川光博よ。
私:ありがとう。さて広報の続きだが来年の三月からサービス開始、二月からメールの登録受付を開始する予定との事。
君:ほほほ、二月が待ち遠しかったのね。
私:待ち遠しいなんてものじゃない。年が明けて、一月あたりから市役所の担当に電話をしたよ。
君:ほほほ、二月の受け付け開始は間違いないか、と確かめたかったのね。
私:いや違う。「申込用紙は市役所に届いていますか」と聞いた。
君:ほほほ、「まだ届いていません」。
私:毎週、電話をした。
君:そして或る日の電話は「はい、先ほど市役所に届いています」だったのよね。ほほほ、居ても立っても居られないあなた。目に浮かぶわ。
私:笑わないでくれ。でも実はその通り。仕事を中断、「今からちょっと市役所へ行ってくる。患者さんには急用という事でお願い。」と受付を言いくるめた。
君:ほほほ、市の職員は既に貴方とは電話馴染みだったのよね。
私:勿論だ。「メアドは 或る言葉を申請したいので、今すぐ申請したい」とねじ込んだ。
君:それってルール違反じゃないかしら。フライイングよ。
私:いや、そうじゃない。彼曰く「新規事業を始めても、希望者様がどれだけいらっしゃるか心配でしたが、世の中にはあなたのような熱心なおかたがいらっしゃる事もわかって、私どもの仕事の励みになります。今すぐお書きください。申請を受理します。」
君:ほほほ、あなたの熱意が先様にきちんと届いたし、生きた行政サービスで本当に良かったわね。
私:かくして私は日本で最初のケーブルテレビのメールサービス申請者第一号になり、愛でたくメアドを取得。イェーイ、気分は最高!
君:ほほほ、先んずれば人を制す。何といってもあなたはケーブルネットユーザーとしては日本で第一号の登録者なのよね。パチパチ
私:これは正に商標登録の問題と同じ。先に登録した者の勝ち。余談だが当院は岐阜県下1400の医療機関でデジタル保険請求導入が6番目。岐大病院より早かった。サイバークリニック。ぶっ
君:結論としては商品が開発できたら真っ先に商標登録ね。
私:いや、それでは駄目だ。遅すぎる。まず何か別の完成品で登録。本命が開発に成功したら名前をもらう。
君:そこまでやるか。
私:商標登録で一歩も二歩も日本より進んでいるのが隣国・中国。
君:国策としてやっていらっしゃるのかしら。
私:なにせ漢字の国だからね。日本の新商品、自治体名、等々がやられてしまっているんだよ。いざ登録しようと思ったらとっくに中国が登録していた、なんてざらにある話。
君:中国は尖閣を狙ったり、日本の水源地を買収したり、あまつさえ日本語までも狙っているという事かしら。
私:商標はフェアプレーだからね。
君:要は早い者勝ち。狙う中国、狙われる日本。出し抜かれても文句は言えない知的財産という事ね。「けいちゃん」の表題なのに食欲があまりの話だわ。ふう。でもメールと言い、電子投票と言い、面白いお話をありがとう。あなたが可児市を愛している事がよくわかったわ。

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