大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

金蔵獅子

戻る

私:読みは「キンゾージシ」、国府町の郷土芸能だね。

君:このコーナーは語彙よ。随分、久しぶりね。
私:では早速。一匹の悪い獅子を金蔵がやっつける芸能。おかめがいらっしゃるが、名前を知ってるかい。
君:さあ。
私:「きんぞのかか」だ。尤も舞台の上ではフィアンセといったほうがいいか。獅子をやっつけて二人は結婚する。だから厳密には金蔵の将来のお上さん。まずは金蔵の顔からいこう。どうなってる?
君:天狗のお面。
私:そう。それに頭のお帽子は鶏毛。つまりは鶏頭楽芸能だね。手甲に短衣。足はわかる?
君:モンペ姿みたいね。
私:うん。「たつき」という。語源は「たちつけ裁着」だ。要はモンペだが、男女ともに共用される。
君:たちつけ、たつけ、たつき、の順に変化したのね。
私:だろうな。そして金蔵が持っている武器は?
君:さあ。
私:紅白の布が巻いてある。「段々巻」を施した棒だ。では「きんぞのかか」に行こう。顔は?
君:お多福ね。
私:そう。平安美人。当然ながら派手模様の婦人衣。書くまでも無いが演ずるのは男性だ。手に持っているのは?
君:さあ。
私:「ささら簓」。衣類・布・紙等が裂けてビラビラする状態のもの。簓ササラは全国の方言になっていて、一般的には、たわし、の意味。素材としては、わら、かるかやのひげ根、笹、竹。
君:元々は笹からきた言葉かも知れないわね。
私:うん。大いに有り得るね。「きんぞのかか」は基本的には闘いには参加していない。ただ金蔵の行動を真似て応援団長をやるだけだが、金蔵が疲れて倒れると寄り添って介抱する。蛇足ながら二人は背中に御幣(ごへい、おんべい、おんべ)をつけている。金蔵は白い御幣。神のご加護というわけだ。二人ともたすき掛け、帯の巻き方も同じ。この辺はカップルのコスチュームプレイのこだわりを感じるね。がはは
君:女はひたすら男を応援するだけでいいのよね。「きんぞのかか」が金蔵に指示しているのであれば、金蔵もやっていられないわよね。妻の大切な心構えよね。ほほほ

ページ先頭に戻る