飛騨方言に、うたてい、という形容詞がありますが、アラありがたい、うれしい、恐縮します、というような意味で用いられます。 勿論、古語・うたてし、に由来する形容詞の可能性が高いとも考えられますが、方言をご研究の先生方へ、うーん、はたしてそうでしょうか。 古語・うたてし、の原義、は心にそぐわない、情けない、いやだ、という意味である事は言わずもがな、ところがこの意味が飛騨では 次第に意味が変化してまったく反対の意味、つまり、心にそぐう、情けある、とてもいい、という意味になったのでしょうか。 私は、そうは思いません。 早い話がこの私、つい数ヶ月前までは古語のコの字も関係なし、気まぐれに方言サイトを始めたものはいいものの、 古語について、高校の授業以来すっかり忘れていた事、あるいは初めて知ったこと、でてくるわでてくるわ、つまりは あれこれ古語の語彙を知りながら方言を話している人などこの世の中にひとりもいないという事です。 つまりは、早い話がこの私はじめ飛騨の人間全員が、うたてい、という言葉を古語の意味がどうだから使うのではなく、 単に響きがいいから使っているだけのことなのではないでしょうか。 例えば濁音化させて、ぐだでい、ぶだでい、などと話したら、とてもじゃないですがいい意味の言葉には聞こえません。 その点、うたてい、は響きがいいのです。 うたてい、の、う、は、うれしい、の、う、です。うまい、の、う、です。うつくしい、の、う、です。 うたてい、の、た、は、たのしい、の、た、です。たおやめ、の、た、です。たからか、の、た、です。 また、うたてい、の、うた、は 歌 です、唄です、唱です、詩です。 うたてえ、の、てえ、は、ありがてえ、の、てえ、です、お礼してえ、の、てえ、です。 このように考える、じゃなかった、感じると、うたてい、という言葉がとてもいい意味になります。 方言は古典、日本文学ではありません。方言に古語辞典は関係ありません。 そこで、佐七が心を込めて飛騨の美しきたおやめに送る歌、 う、は、うれしい、の、う♪、 た、は、たのしい、の、た♪ 、 てえ、は、ありがてえ、の、てえ♪ 、 さあみんなで、うたてえ、を歌いましょう♪ つまりは、飛騨俚諺・うたてい、はある時代に飛騨地方で突然に流行して今日にいたったことばなのではないでしょうか。
う、は、うれしい、の、う♪、 た、は、たのしい、の、た♪ 、 てえ、は、ありがてえ、の、てえ♪ 、 さあみんなで、うたてえ、を歌いましょう♪