大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
助詞の種類 |
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私:今夜は山田文法について語ろう。 君:といってもどなたやら、とお思いの方が多いわよ。 私:山田孝雄。戦前の文法学者。国語学の基礎を作った人。多くの研究者に影響を与えた。特に後に東大帝大教授になった方々、橋本進吉と時江枝誠記、が影響を受けた。国語学においては山田文法、橋本文法、時枝文法を学ぶが、戦後の学校文法(所謂、中等文法)は橋本文法のコピー。といっても橋本文法、時枝文法が山田文法のコピーと言えなくもない。山田先生は助詞の概念の確立及び分類や係助詞の発見等の業績から国文法の父とも呼ばれているおかただ。 君:今日は助詞だけのお話にしましょうね。 私:うん。学校文法でも習うし、高校生ともなると古語辞典の巻末資料の暗記で出てくる学術語。格助詞、副助詞、係助詞、終助詞、間投助詞、接続助詞、それに並立助詞、複合助詞等々。前六個が大切。 君:そもそも助詞とは、の命題はどうかしら。 私:まずは言葉には自立語と非自立語の二分類がある、という話からだ。自立語とは実態的具体的な意味を示す要素、例えば、名詞「やま」、動詞「動く」とか。これに対して助詞は非自立語、つまりは単独では用いられない附属的な品詞だが、様々な品詞に接続して様々な意味を与えるというもの。非活用語でもあり、この点は助動詞と根本的に異なっている。 君:助詞は活用せず、つまりは活用表は無いので概念の理解は簡単。その一方、助動詞は自身が活用するし、更にややこしい事に活用している動詞に接続の場合、若干の規則があるという事ね。 私:要はそういう事。助詞は活用しないので受験問題としては簡単、助動詞は活用するのでひねり問題が作れる、という事だ。ぶっ 君:接尾語と助詞の関係はどう説明する。 私:両者は別物。接尾語は自立語の一部、例えば(暑)さ、(春)めく、(男)らしいなど。名詞以外は活用もする。くどいようだが、助詞は活用しない。 君:。ではいよいよ、助詞の分類ね。 私:うん。山田文法では助詞群をまずは二分類、句と句を結ぶものが接続助詞で、ひとつの句の中にあるのがその他の助詞。 君:ひとつの句の中にあるものをまた、二分するのよね。 私:そう。使用範囲が厳密な物とゆるやかなもの。後者が間投助詞。 君:つまりは前者は格助詞、副助詞、係助詞、終助詞。 私:うん。ところが格助詞と副助詞は仲間であり、係助詞も終助詞も仲間、この二つのお仲間たちは相いれない。 君:ほほほ、格助詞と副助詞は句の成分の成立または意義に関するもので、係助詞と終助詞は句そのものの成立または意義に関するものだわね。 私:その通りだが、この辺りで一般の読者の方は嫌気がさしておられるだろう、「句の成分」と「句そのもの」この両者の違いっていったい。 君:これはもう具体例でいったほうがいいわよ。 私:そうだな。格助詞ってのは簡単だ。英文法が役立つ。例えば主格S「左七が」、奪格O「恋文を」、与格D「彼女に」渡す。 君:副助詞の例をお願いね。 私:ほいきた。いつ「まで」あの子「ばかり」気にする「ほど」思い詰めて「まで」過ごす「やら」・・・なにせ副助詞だからね、左七の気持ちはひとつの章に永遠に書き続けられるんだよ。主格って文章にひとつだけだから格助詞「が」は文章にひとつだけなのに。ぶっ 君:では「句そのもの」が問題となる係助詞と終助詞ね。 私:係助詞といえば係り結びの延長だ。雪「ぞ」降りける、雪「こそ」降りけれ。つまりは必ず述語の上にあって、続く述語が係り結びをする。 君:となると後は簡単ね。終助詞とは「句そのもの」が問題となる助詞のなかで句の終止に用いる助詞。 私:その通り。僕は君がすきだ「よ」、とか、浮気をする「な」、とかね。ぶっ 君:終助詞は文章の終わりにしか使えないし、係助詞は文中にしか使えない。さすがにこれは小学生でも理解できるわね。 私:幼稚園児でも、という事だ。孫が今、勉強中。 君:並立助詞について簡単にひと言お願いね。 私:古典文法の概念。現代口語文法では消滅、従って学校文法では教えない。成立は平安から室町と様々で江戸時代まで。現代口語としては消滅。 君:簡単にまとめをお願いね。 私:★格助詞は句内、一定関係、その成分の設立に関係。★副助詞は句内、一定関係で下の成分の意義を修飾、★係助詞は句内、一定関係、述語の上にあって影響を与えるもの、★終助詞は終止符の前にある、★間投助詞は句内だがファジーな万能助詞だが幽霊みたいなやつ、★接続助詞は句と句の関係を与えるもの、★並立助詞はガキが覚えなくてもいい助詞。 君:国学に「てにをは」があるわよ。 私:助詞は「てにをは」の一部分。山田先生は「てにをは」の一部を分離して助詞の概念を確立してそれを細分した事により本居宣長より偉い先生で、膠着語たる日本語の本質を見抜いた人。国文法の産みの親。 君:左七は方言研究においては語彙に飽きれば文末詞と助詞の研究。ほほほ 山田文法における助詞分類 ★★★★ひとつの句内にあるもの ★★★一定の関係を持つもの ★★句の成分の成立・意義に関係するもの ★一定の成分の成立に関係するもの -->格助詞 ★下接する用言の意義を修飾するもの -->副助詞 ★★句そのものの成立・意義に関係するもの ★述語に上接し影響を与えうるもの -->係助詞 ★句の終止に用いるもの -->終助詞 ★★★使用範囲の緩やかなもの -->間投助詞 ★★★★句と句を結びつけるもの -->接続助詞 |
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