大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
新丁重語 |
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私:若者言葉的な言い方で「させていただきます」について出版なさった方がいらっしゃる。そもそも敬語になっていない…「させていただく」と言われるとイラッとする言語学的な理由、椎名 美智(しいな・みち)法政大学文学部 教授、『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』(角川新書)。実は同書はまだ読んでいないので、差し出がましい事は書けないが。 君:ははあ、新丁重語という言葉が響いたのね。 私:そういう事。 君:皆様に詳しくご説明申し上げたら。 私:はい。では、そうさせていただきます。 君:挑発的ね。 私:要はそういう事。それはともかく、敬語と言えば文化庁。 君:つまりは国語の問題というよりは文化の問題。敬語の指針 私:昭和28年生まれの僕だが後期中等教育まで、尊敬語・謙譲語・丁寧語の三つを教わったが、日本語の敬語が進化したという事。2007年(平成19年)に文化審議会が答申した「敬語の指針」によって、2017年(平成29年)現在、敬語は【尊敬語、謙譲語、丁重語、丁寧語、美化語】の5種類に分類されてている。原本よりもこちらがわかり易いね。 君:簡単に要点を示してね。 私:うん。椎名先生のお考えでは「させていただきます」はそもそも敬語になっていないので丁重語とは言い難く、これを新丁重語と名付けたい、というご主旨なんだよ。 君:あなたはどう思うの? 私:丁重語と言えば「参る・申す」、と文化審議会が定義なさったわけだから、ごもっともでございます。 君:それこそ慇懃無礼というのよ。 私:本音を語らせていただこう。おっと、これも新丁重語か。駄目だ、完全に頭に染み込んでいる。そもそも敬語になっていない、って表現は少し過激すぎやしないかい。いいじゃないか、「させていただく」でも。言わば言葉狩り。 君:それも造語ね。 私:豊臣秀吉の刀狩令になぞらえて、間違った言葉を激しくバッシングする事を言う。方言撲滅運動とかね。 君:そもそも敬語になっていない、という事で・・私が聞いた話として、講演会の入り口で「受講票を確認させていただきます」と言われて怒って出て行った男性の例・・とは穏やかじゃないわね。 私:聞いた話という点がね。こういうのを言葉の独り歩きというのじゃないか。 君:あなたは容認するのね。 私:何を。 君:失礼。二通りの解釈になるわね。 私:そう。「させていただく」を容認するか、「新丁重語」を容認するか、という命題だね。僕は前者を指示する。という事は、言い換えると・・。 君:新丁重語も丁重語である。 私:そう。丁重語は「参る・申す・させていただく」の三種類になったんだよ。従って新丁重語は、新しい丁重語、の意味だな。 君:他に仰りたい事は? 私:飛騨方言じゃ丁重語「させてもらう」を使うね。今夜もこやって書かせてもらってありがてえごっちゃさ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。身内尊敬も飛騨方言。何でもありだ。大いに結構。 君:もらうって謙譲語じゃないかしら。してくださるのではなく、させてもらうので。 |
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