大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ためぐち《俗》

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私:「ためぐち」とは相手と対等の立場で話をする事、つまりは敬語無しの会話、という意味だが、これは学術語とは言い難いね。
君:若者言葉ね。でも、今は高年齢層も使う、つまりは一般用語じゃないかしら。
私:そう言えば私が若者だった頃、つまりは昭和、には知らなかった言葉。語源が気になってちょいと調べてみた。
君:簡単に結論をお願いね。
私:うん。一番に役立ったのがネット情報。「俗語」「賭博用語」等々でまとまった情報が得られる。1970年代から、若者達、ツッパリと言われた人達で使われた出した言葉。花札のぞろ目の隠語「多目」から来ている。平等という意味。これが言葉遣いに使われるようになり、「ためぐち多目口」と言えば、敬語無しの会話を意味するようになったんだ。ツッパリ少年達にも当然ながら上下関係はある。従って、目上が目下に「てめえ、ためぐち言ってんじゃねえぞ、ばかやろう」などと言い始めた。半世紀の時が流れ、「ためぐち」は日本語の仲間入りをした。広辞苑他、最近の国語辞典には俗語の分類で記載されるようになっているね。
君:ほほほ、ついでだから古語辞典にも目を通したのね。
私:ああ、勿論。「ためぐち」の記載は皆無。当然ながら言海、大言海にも記載は無い。国語語彙の変遷を知るためにはという事で、若者の方々にお勧めしたいのが国語辞典を生涯持ち続ける事。私事ながら1972に大学入学時の国語辞典が座右の書。そこには「ためぐち」の記載は無い。
君:若者言葉は方言形成の原動力ね。
私:ああ、一般論としては古い世代は言葉の使用は保守的だ。ネオ方言、新方言、方言萌え、方言コスプレ、等、これら方言学の話題は若者言葉というカテゴリーに収束される。ところで、家族でラインやってるよね。
君:ええ。
私:我が家は娘二人、といっても三十代の子持ちのオバちゃん達、と私共夫婦の四人で、毎日、言葉が飛び交うが、これがいつの間にやらため口になってしまって。
君:あらら。左七お父さんなのに呼び捨てにされちゃってるのね。ほほほ
私:そうなんやさ(飛騨方言)。親子で仲がいい証拠だろうか?今や諦めムード。
君:それが一番よ。「ためぐち言ってはダメ、親に対しては敬語を使いなさい」はおやめになってね。
私:男女の仲、職場の中、等々、人間関係において「ためぐち」は重要。
君:男女の仲?
私:恋愛方程式。初回のデートはきちんと敬語で。二回目は少しため口を入れる。数回デートした後は敬語は一切使わず「ためぐち」会話が恋愛成就のコツで、これは基本中の基本だそうだ。敬語の正しい使いかた以上に大切。仕事柄、人と話す事が全てと言ってもいいが、上から目線にならないように気遣っているつもりだ。如何に和やかな会話に持っていくか、夫婦の間でも大切な事だね。家内が私に敬語を使いだすと、まじ、怖い。
君:ほほほ、素直に謝ればいいのよ。
私:うん、つまりは家内を説得しようと思わない事、かな。共感する、この一言に尽きるね。ため口の娘達にでも「カネは出すが、クチは出さん」と発信するのが常。親父は辛いよ。ぶっ
君:夫婦・親子で末永くため口が続くといいわね。ほほほ

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