大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 近隣の方言

聞きなし・のりつけほーせ

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例えば、ウグイスのホーホケキョは、法を聞け、とも 聞こえますが、このように鳥の鳴き声が とても意味のある国語に聞こえる事、あるいは そのような言葉を探し出す事を、聞きなし、と いいます。一種の言葉のお遊びですね。

さて、ふくろうさんの鳴き方は、といえば、 たいていの方が、ほーほー、位をお答えになるでしょう。 動物園のふくろうさんはちっとも鳴いてくれないので、 聞きたければ山深い夜の飛騨に向かわねばなりません。 どうしても聞きたい方はネット検索してみてください。 幾つもの音声情報があります。 やはり私にも、ほーほー、としか聞こえませんでした。

ところで、フクロウの聞きなし・のりつけほーせ、は 変わった分布をしている事がわかっています。 国立国語研究所が作成した日本言語地図です。 この言葉の分布は広く秋田県から島根県まで裏日本全体に 渡り、実は岐阜県飛騨も含まれます。 但し調査期間は 1966-74 ですから戦前あたりの 飛騨のことばであったのでしょうが、既に死語と なっている可能性はありましょうね。 土田吉左衛門飛騨方言辞書には記載がありました。

さて解釈ですが、糊をつけて干せ、とはどのような 意味でしょうか。 ふくろうが、翌日は晴れで洗濯日和だよ、と夜に鳴いて 教えているという昔の人の知恵との解釈が一般的です。 つまりは裏日本は晴天が少なく、 自然に裏日本に広まった言葉であろうか、というのが 大阪大学の真田信治先生の解釈です(講談社α新書・方言の日本地図)。

以上が前置きです、さて佐七節は。 どうも吉城郡の言葉、北飛騨の方言であったようなのです。 とすれば、富山から伝わったのではと筆者は考えたくなります。 更には、飛騨の気候は表日本か裏日本かと問われれば、 裏日本で決まりですね。 幼い日の佐七は冬に雪が降らない表日本というものが どうにも想像できなかったのでした。

その佐七がいつも同じ原稿しかかけぬようでは 脳動脈硬化と言われてもしかたのない事ですが 続けましょう。 ふくろうさんのあの単調な鳴き声は日本人には やはり、ほうほう、としか聞こえませんでしょう。 つまりは四拍●○●○です。 でもなんとか、四拍●○●○のうほう、の聞きなしは 可能でしょうね。 ところが飛騨は純東京式のアクセント地域、 糊のり○●、つける○●○、干す●○、のアクセントです。 つまりは飛騨方言では、のりつけほせ○●●●●○、なのでしょう。

ところが北陸の方言は畿内方言の影響が大で、糊のり●○なのでしょうね。 のりつけほせ●○○○●○、はドンピシャリ 四拍●○●○のりほせ、のはまり言葉でしょう。 真田信治先生へ、筆者の馬鹿な想像ではこの聞きなしは 京都府の丹後半島あたりが発生源かと思うのですが、 佐七君それは考えすぎだよ、とおっしゃるでしょうか。

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