人魚・サイレンといえば英語でも言霊の最右翼に属するのではないでしょうか。
ご興味ある方はご自身でお調べあれ。
ギリシャの神話、船人を襲う魔物、転じて、うるさい女、等々
意味がありすぎて辟易します。
日本人、具体的には飛騨人にとっては、勿論ですが碌な意味はありません。
大西村の言霊ですが、深夜にサイレンが鳴ったといえばこれはもう
人家の火災に決まっています。その音で飛び起きると見よ彼方の空に
紅蓮の炎、誰の家だ!と家中が大騒ぎです。
また大西村には消防署はありません、消火はすべて自衛、
つまり音を聞くや否や男の大人はサッと着替え、
脱兎の如く家を飛び出し火事場へ一目散に走ります。
飛騨は空襲がなかった地域ですから空襲警報を思い出すという
老人は見えないでしょうが、戦中は都会に住んだ方はどうでしょう。
また益田川沿いの住民の方にはおなじみでしょう、日中にウウーッウウーッ
と物悲しいサイレンが鳴れば中部電力からのお知らせです。
ダムの放水をしますのでこれから水かさが増します、
川遊びをしている子供は家に帰りなさい、という意味なのです。
尤も水かさといってもわずかに増すだけです。
そのまま遊んでいてもいけなくもないのでしょうが、
サイレンが鳴っても尚、川遊びをしていると大人に
叱られるという大切な意味合いがありますね、うふふ。
いずれにしても嫌な音・サイレンですが、たった一つだけ、
愛の言霊・サイレンがあるのです。午前十一時に大西小学校が
鳴らすほんの十五秒ほどのサイレン、つまり時を告げる音です。
戦前からの習慣だったのでしょう、村人にとっては、そろそろ
お昼時ですよ、という何とも早、ありがたい音なのです。
時を告げるなら正午でもいいじゃないかと思われましょう、
が農作業、山仕事などは区切りというものをつけるのに小一時間
かかる事もありますし、作業場から自宅まで移動時間
がかかります。
だから十一時なのですが、四時間目の授業中に突然に鳴るそのサイレン
から給食までの一時間というものが
小学生の佐七には結構、長かったなあ、ははは。
ところで私、コーヒー中毒なんですよ、サイレンといえば
スターバックスのロゴで決まり。
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