大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
第一次方言ブーム |
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私:今の時代、方言といえば方言ユーチューバや方言ラインスタンプの事といってもよいのだろうが、今夜はチョッピリ変わったお話で、PCの歴史でも語ろう。 君:第一次方言ブームとはいつ頃の事かしら。 私:2000年前後だね。 君:つまりはインターネット文化が花開く時期に一致するわね。それ以前に既にPCはあったわね。 私:ああ。日本のPC文化の夜明けは NEC-PC9801F つまりは16ビットコンピュータが1983年秋に発売された時。私事ながら新婚で大学病院勤務の頃。一部のマニアのおもちゃだった。ソフトもたくさん出始めたが気に入るものは無し。統計ソフト、画像処理、等々、自分でプログラムを作り、仕事に役立てた。英文ワープロ WordStar(MicroPro社) が世界を席巻していたが、これだけは秀逸。英語論文執筆は全て WordStar のお世話になった。さて1995にマイクロソフトがウインドウズ発売、PCが歌・動画を扱えるようになった。動画の歌は米国のグループ Weezer の代表曲"Buddy Holly"。確か来日しているね。 君:懐かしの Windows95 CDおまけ動画ね。 私:然もアナログ電話回線によるインターネット接続が可能になり、2000年辺りからPCの一般化がぐんと進んだ。日本人のかなりがインターネットに接するようになり、学校教育でも情報教育、つまりはホームページ作成が格好の材料となり、小中学生が作成する方言サイトが出てくるんだ。 君:大人はどうだったのかしら。 私:大人も子供もホームページ作成に夢中。簡単に言うと趣味紹介のサイトばかりだが、そんな中、星の数ほどの方言紹介サイトが出現した。私も2005から当サイトを運営しているので、やや遅れてきたという事にはなる。 君:どうして方言サイトを始めようと思ったの? 私:そのころは電子メールもさかんになってきた時代だった。飛騨の友人とのメールのやりとりに方言を入れるとバカ受け、若しかして方言サイトを開設すると人気者になれるかなと思い立ち、始めたところ、予想以上の反響にビックリしてしまった。三年間で35万人のアクセス。 君:当時の飛騨の人口が15万くらいね。と言うか、高山市の人口5万の七倍じゃないの。ほほほ 私:その通り。市の人口の七倍。どこのどなたがお読みくださるかは知らないが、飛騨方言にご興味を抱いてくださる事はこの上ない名誉、然も学術的な事でなくでもかまわない、要は自分の頭には飛騨方言が詰まっているわけだから、それを記事に起こせばよいだけ。あの当時を振り返って、当サイトの内容は幼稚とも言える内容かも知れないが、数十年後、つまりは晩年の自分自身がじっくりと読み返すのも悪くはない、と考えて、とにかく読み切れないほど書いてやろうと思った。その気持ちは今でも変わらない。 君:情報教育という事で、小学生のお書きになったサイトは学校教育の実習だったのよね。 私:まあ、そんなところだろうね。子供はどんどん進級していく。先生も転勤する。すると管理者たる校長はサイトを閉鎖する。また新たなサイトができる。当時の方言サイトといえば、おらが町にはこのような語彙があって共通語の意味はこうです、という一覧表づくりがほとんど。 君:小学生ならそれでいいんじゃないのかしら。 私:勿論、それで十分だと思う。然しながら情報としては極めて不十分、これを僕は CUI / GUI paradox と名付けたい。 君: CUI / GUI とは。 私:コンピュータ用語だ。 CUI character user interface/ GUI graphic user interface。文字文化と画像文化。 君:つまりは語彙一覧表は実は情報量としては CUI よね。 私:その通り。 CUI はウインドウズ以前のPC文化。ウインドウズになってPCは画像文化になった。然しながら文字がカラフルになったとて、文字が可愛いフォントになったとて情報が増えるわけではない。 君:でも、このサイトも可愛い色を使っているわよ。 私:それはたった一枚のスタイルシートで色を定義しているから。僕は毎日、文字をアップロードしているだけ。 君:それで満足なのね。 私:いや、決して満足していない。ウインドウズになって大きく変わった事は画像のみならず、音声と動画の二つを扱えるようになった事。つまりは、話してなんぼ、の方言の世界で、僕のようにいつまでも CUI 情報のみを発信しているスタイルは最早、時代遅れも甚だしいといってもよい。 君:だったら、当サイトのアップはお止めになって、さっさと方言ユーチューバになりなさいよ。 私:そんな事、恥ずかしくて出来るわけないよ。勘弁してくれ。でも、ユーチューブは第二次方言ブームと言ってもいいね。毎日、チェックしきれないほどのコンテンツのアップがあって、やっと真の意味での方言ブームが訪れたと感ずる。 君:この三十年ほどのPCの発達は目覚ましく、昔のPCでは動画の編集が出来なかったのね。 私:その通り。16ビットは64ビットになった。外部記憶は1.4メガフロッピーから8テラハードディスクに、CPU 速度は7メガヘルツが3.2ギガヘルツに。 君:そんな数字の羅列ではピンと来ないわよ。 私:例えば僕の新婚時代の思い出 NEC-PC9801F はよちよち歩きのゼロ歳児だが、最近のPCはオリンピック三大会連続優勝アスリートだね。 君:新婚時代のほうが思い出深いんじゃないの。 私:そう。それに泣けてくるのが価格だな。 NEC-PC9801F は一か月の給料の値段だった。とても重い。動かせない。だから自宅と職場にそれぞれ、つまり二台買ってもらったんだよ。 君:まあ、優しい奥様。 私:その代わりといってはなんだが、年賀状の宛名も裏も当時からPCで。ソフトも何にもない、データベースの構築ソフトを作り、印刷ソフトを作り、何から何まで自作。早い話が日本の草分けという訳。 君:ほほほ、でも当時から奥様は全ての賀状に一筆、添えていらっしゃったのよね。あなたにとってPC文化の歴史は夫婦生活・子育ての歴史とピタリ一致しているのね。ほほほ |
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