形容詞・高いを名詞化すると高さといいますが、飛騨方言では、語の末尾が省略されて、たか といいます。
といいたい所なのですが、飛騨方言・たか は、実は高さという意味ではなく、
高い場所、高い部位、高さのレベル という意味で用いられます。アクセントは第一音です。
例文ですが、
あの山のたかはなんじゃろかなあ。
この言葉ですが、決してあの山の標高を問うているわけではないのです。
この会話文の意味は、あの山の高い所、つまりは頂上あたりは何なんでしょうかという意味で、
つまりはガスで頂上あたりは見えにくいが、あるいはごつごつとした岩山なのでしょうか、という
意味になります。
また別の会話文ですが、
山のあんなたかまでロープウエイがいっとる
という言葉の意味ですが、"山のあんな標高まで"としても、意味が通じない事はないでしょうが、
正しい意味は、ロープウェイの終点を指して、あるいは途中までしか見えないロープを指して、
山のあんなにも高い場所までロープウェイが行っているという意味なのです。
もうひとつ別の文章ですが、戦後まもなく作られた秋神ダムの湖底に沈んだ、
きゅうべだに(谷)という村がありますが、そのきゅうべ谷の中腹に、
将来のダム水面になる位置に中部電力が、建設を開始するにあたり旗をたてました。
谷底からその旗を見上げて、みなが言った言葉、
この村も沈んでまって、旗のたっとるあんな"たか"しか
ダムの水にくまんのやとよ。(=くむ、頭を出す)
・・・この村も沈んでしまって、旗の立っているあんなに高い場所でないと、(この村は)ダムの水面に
頭をださないのですって・・・
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