先だっては<はらいその冷水日記様が
当サイトをご紹介くださいまして御礼申し上げます。
さて、同ブログにお書きの、
個人的には、「でーれーええことあわさっとる」が、特にツボでした。
について筆者なりに気づいた事を補足説明させていただきましょう。
共通語への逐語訳としては、どえらくいいふうにあっている、という
意味ですが、内容の可笑しさ以上に言葉そのものにも可笑しさがある、
という事です。
あわさっとる、とは、あわさりておる、の詰まった形であり、
つまりは飛騨方言では、あう、という意味の自動詞は、あわさる・ラ四、
なのです。尚、飛騨方言でも他動詞は、あわせる、です。
実は飛騨人どうしで自動詞・あわさる・ラ四、を用いて会話をしても
可笑しくも何ともありません。
むしろ同郷意識がお互いに感ぜられる好ましい言い方といえましょう。
また、
飛騨方言では、会う・遭う・逢う、との意味混同を嫌って、
合わさる、という言葉が生まれたと言う事なのでしょうね。
ところが逆に、自動詞・あう、は明らかに共通語の
言い回しであり、つまりはややきざな言い方であり、
しかも意味が通りにくい言葉
という事なのです。
飛騨人にとっては、あわさるは良い言葉遣いであり、
あうは悪い言葉遣いに他なりません。
さて本題ですが、ところがこの飛騨人にとって便利な自動詞・あわさる、は
日本人ならば誰でも瞬間的に、なるほど自動詞・合う、という
意味だね、と理解できる動詞でしょう。
つまりは、説明不要・言いえて妙、という点が可笑しいのでしょうね。
自然言語・日本語の面白さです。
自動翻訳はそうもいきません。
活用ですが、
共通語 飛騨方言
未然 あわない あわさらん
連用 あって あわさって
終止 あう あわさる
連体 あう あわさる
仮定 あえば あわさりゃ
命令 あえ あわされ
筆者がかってに残念に思う事は、他動詞・〜せる/自動詞・〜さる、
の組み合わせは、あわせる・あわさる、位がせいぜいで、
他にはほとんどないような気がします。
それでも頑張って内省しますと、のせる・のさる、つまりは、物を乗せる・物がのさっとる、
あたりは明らかに飛騨方言です。
筆者はこのように飛騨の言葉を集めていく事が趣味なので、
またいつか内容をまとめましょう。
以上の通り、飛騨方言が何故おかしいかという命題は意外にも
飛騨方言話者には返ってわかり難い事なのです。
はらいその冷水日記様には重ねて御礼申し上げます。