古都の名立たる建造物が飛騨の名工の手によっていたという
事は飛騨の人間にとっては大変な誇りです。飛騨は土地柄、材料の木材は常に身近に豊富に
ありますし、生業が大工でなくとも各家庭には大工道具が一通りそろえてあるという事が
多いのです。つまり簡単な普請はご自分でおこなうという土地柄といってもいいのかも
しれません。正確には、戦後しばらく、あるいは最近まで、という事なのかもしれませんが。
この言葉は男子がおこなうハンドクラフトに限定されるようです。女子が手芸に秀でていても、
あるいは男子でも、書画、あるいは舞台芸術等に秀でていても用いられる事はありません。
さて正反対の言葉はぶきっちょという事になりますが、
飛騨に生まれ育ったからといって誰もが飛騨工になれるわけではありません。
我ながらウーンあまり出来がよくないなあと思った場合は、
いやさすが飛騨工といわれるように頑張らなくっちゃ、と考え直しすぐさまやり直すのですね。
我ながら満足できる出来だ、と思っているところへ、
"うーん惜しいなあ、あんたも飛騨工の末裔やろ"などと言われようものならガックリです。
勿論、"いやあ立派、お見事。さすが飛騨工や。"と言われるまで、
なにくそがんばるぞ、という気持ちになろうというものです。
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