大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
かあさんの歌 |
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私:童謡・唱歌として有名な、かあさんの歌(作詞・作曲、窪田聡)。歌詞の一部が方言詩。せっせとあんだだよ、おとう、もうすぐ春だで。これらの表現は飛騨方言では決して現れない。方言文法の東西対立といって、実は境界は北アルプス(飛騨山脈)。飛騨は西側、つまり畿内文法。飛騨方言では、せっせとあんだんやさ、つぁま、もうすぐ春やで。 君:飛騨方言は畿内文法の東の果てというわけね。飛騨方言は、やさ・やで。歌の方言詩の部分は、だよ・だで。つまりは音韻の対応があるわね。 私:そう。西側は「や」、東側は「だ」。実は両者とも共通の祖先があり、にてあり。これが最初、であり、に変化する。西では、であり・ぢゃ・じゃ・や、と変化した。東では、であり・でぁ・だ、と変化した。 君:今日の結論としては、かあさんの歌、は東側の方言ね。 私:作詞・作曲、窪田聡は戦時中に疎開していた長野県長野市の旧信州新町地区の情景を歌詞にしたようだね。正確なところはご本人にお聞きしないとわからないが。彼は生まれも育ちも東京だが、こういう内容の歌詞は、田舎の母親と都会に出た子供の構図なら、やはり方言詩じゃないとね。1989年、信州新町に『かあさんの歌』の歌碑が建てられた。 君:かあさんの歌の歌詞は信州方言だったのね。しかも戦時中。 |
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