大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
否定の助動詞「ない・ぬ」の東西境界はどこか |
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私:今日 2020/11/18 の話題は NHK NEWS WEB。愛知県美浜町名鉄河和線の河和駅で県立内海高校生が自転車盗難防止呼びかけ「鍵をかけなきゃ“みかん”がね!」と書かれた袋に入った特産のみかんを配った。 君:京都と飛騨は「いかん」、東京は「いけない」。愛知県全域も「いかん」なのよね。 私:ああ、そうだ。要は否定の助動詞「ない・ぬ」の東西対立だが、誰でも漠然と中部地方のどの辺かだろうな、とはお思いだろうが、最も正確なネット地図としては国研地図がある。方言文法全国地図。動詞否定形で13種の調査結果が公表されている。 君:上一5種、下一3種、五段3種、カ変、サ変の全部をお調べになったのね。 私:面白いのは三つの県において13種で微妙に東西の違いがある事だね。 君:ほほほ、新潟、山梨、静岡ね。 私:その通り。長野、山梨、静岡をひとくくりにして「ナヤシ方言」という事もあるが、否定の「ない・ぬ」に関しては当てはまらないようだね。それ以前の問題として、山梨と静岡は県内に否定の「ない・ぬ」の方言境界がある事がわかる。新潟もまたどうやら否定の「ない・ぬ」では県内に方言境界が存在するらしい。 君:裏返せば、富山、岐阜、愛知は完全に京都と同じで「いかん」とお話しになるのよね。 私:その通り。だから冒頭のNHKニュースになるんだ。 君:美浜町って、愛知県のどこだったかしら。 私:知多半島の中央部だ。西が伊勢湾で東が三河湾。 君:知多半島も渥美半島も京都と同じで「いかん」なのよね。 私:ああ、岐阜県全体も愛知県全体もすっぼりと「いかん」の地方だ。 君:それにしても飛騨は動詞述語の方言境界という意味では実にすっきりしているわよね。 私:その通り。文法は西側だと思えば間違いない。ただし例外も勿論あって飛騨・美濃・名古屋は「買った・買うた」は「買った」、「借りる・借る」は「借りる」で東京側だ。「買った・買うた」と「借りる・借る」の境界は白山と木曽三川が東西に分けている。 君:簡単に一言、高山・岐阜・名古屋は親戚関係で主に京都式、ただし例外的に「買った・借りる」は東京式ね。 私:まあ、そんなところ。富山と飛騨も似通っている。大雑把に言うと北陸三県は関西圏の方言だ。 君:愛知県でもミカンが採れるとはね。 私:ああ。蒲郡市、東海市、南知多町、知多市 、美浜町。愛知県は全国七位。 君:脱線ばかりで、結論を書いていないわよ。 私:「いかん・いけない」の東西境界は静岡県のどこか、と書くしかないね。さきほどは各種資料を見た。浜名湖辺りという資料が多い。あるいは駿河湾辺りという資料も。 君:つまりは方言境界を考える場合、訳が分からないのが静岡と新潟ね。 私:その通り。動詞・助動詞の活用の東西問題を考える場合、両県は本当に判りづらい。 君:飛騨は西どすえ。長野はガリガリの東側ね。北アルプスが東西真っ二つに分けているのよね。 |
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