大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ではなくて・やのうて

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私:東京語[ではなくて]を品詞分解すると、接続助詞[では]+形口・形ク「なし」連用形+格助詞「て」。
君:いわゆる副詞句ね。
私:そう。この副詞句には明確な東西対立があり、畿内方言は接続助詞[や]+形口・形ク「なし」連用形ウ音便+格助詞「て」。つまり格助詞「て」に東西対立はない事がわかる。
君:飛騨は畿内文法なので「やのうて」になるのよね。
私:そう。面白いのが尾張方言で「だのうて」。同語のネット情報発信を先ほど確認した。
君:つまりは中部地方は東西方言対立の狭間(はざま)というのは間違い、今回のテーマに関しては、飛騨は西側であり、尾張が狭間というわけね。
私:その通り。方言対立における桶狭間の戦いというわけだ。
君:「やのうて」は広く西側の言い回しかしら。
私:うん。ネット発信は少ないが、京都・大阪・伊勢あたり。飛騨も含まれる。
君:[ではなくて]については?
私:三河より東だね。遠州から首都圏。
君:[ない・ぬ]の東西対立が始まったころから[ではなくて・やのうて]の対立が始まったのかしら。
私:どうかな。「ない」の語源は上代東国語・なふ(助動特活)、万葉集にある(3375,3483)。対立が完成したのはおそらく近世語の時代。
君:それじゃ不明ね。 ほほほ

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