大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

東西対立に於ける岐阜方言と飛騨方言の比較

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岐阜市と高山市はそれぞれ美濃地方・飛騨地方の 中心都市ですが、美濃方言・飛騨方言を代表する二都市では ないでしょうか。 この二つの都市において東西方言対立の差が どれほどあるのでしょうか。 資料は、郷土の研究・方言をしらべよう、四・中部地方、 監修・佐藤亮一、指導・山田達也、福武書店、です。 掲載図データによれば、
東・西     高山市 岐阜市 判定
起きろ・起きよ 起きよ 起きよ 共に西
ない・ん    ん   ん   共に西
白く・白う   白う  白う  共に西
だ・じゃ    じゃ  じゃ  共に西
買った・買うた 買った 買った 共に東
出した・出いた 出いた 出いた 共に西
ずら・該当無し 無し  無し  共に東では無い
ので・ので   で   で   実は共に中部
ゐる・をる   おる  おる  共に西
との事、実に単純な結論でした。 実は高山市と岐阜市の間に東西対立の差はありません。 そして両市はともにどちらかといえば西寄りなのです。

筆者は所詮アマチュア故、少ない資料から大胆に予想して 臆面もなく記載、これを全国の皆様に問う、反論がなければ 自分自身が妙に納得、という論を繰り返していますが、 是非、ご批判を。

さて岐阜市弁・高山弁、両者の差を見ようと思うと、 やれ俚言の問題とか、アクセントの問題とか、韻音等についても あれこれ出て参りましょう。がしかし枝葉末節に属する事でしょう。 両者の基本的な文法骨格は実は大差なく、全国のあまたの方言と 対比しますと、似たり寄ったりの方言という事なのでしょうね。 岐阜市が人口五十万、旧高山市が人口五万ですから、 美濃方言が親なら飛騨方言はその子供というわけです。 親に似た子供というわけでしょう。 またその祖先は室町時代の畿内方言という事ではないでしょうか。

最大の謎が四段動詞のウ音便というテーマでしょうねえ。 岐阜市も高山市も明らかに東寄りです。 両市では決して、買うた・関西方言、とは言いません。 東京に同じく、買った、なのです。 そして佐七節の推察ですが、時は平安時代、その昔に畿内に於いて四段動詞のウ音便が 使用されるや、岐阜でも飛騨でも使用されていたのでしょうね。 勿論何時の時代やらも定かではありません。 それがいつのまにやら促音便という事なのでしょうよ。 しかも、岐阜でも飛騨でも。 不思議ですねえ。面白いですねえ。

この現象は若しや古くに促音便の発生した時代・鎌倉時代からなのでしょうか。 畿内方言に近かった美濃飛騨方言であったろうに。 となると蓋然性に欠けますね。 実は四段動詞のウ音便は相当に強力です。つまり勢力範囲が広い。 敵もあっぱれ也、三重県はいうに及ばす北陸三県及び新潟全県に及ぶようです。 がしかし四段動詞の促音便は岐阜県全域および愛知県全域をきっちりと 征服しとるんやさ。 勿論、勝った勝ったといっていた明治時代からでは断じてありませぬ。 もっと以前からでしょう。 しゃみしゃっきり。
おまけ
高山市が岐阜県に属する事の意味は大きい。 高山市は中央分水嶺の北側、つまり裏日本。 けれど高山市は岐阜県の一部だから実は東海地方。 言葉も何もかも。地理的に日本海地方なのに東海地方・高山市。 しゃみしゃっきり。

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