大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

イ形容詞・ナ形容詞

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私:先ほどだが、表題の用語を発見して、へえっ、と思ったんだよ。
君:ほほほ、学校文法では教えないから。
私:そう、中等教育では習わなかった。つまり大学受験に関係なし。ネット情報としては東京外国語大学言語モジュールを発見した。
君:『はじめての人の日本語文法』(野田尚史著 くろしお出版刊)があるわよ。
私:へえ、金沢のご出身、阪大卒、国研研究主幹。近年、富みに増加する外国人留学生に効率よく日本語を習得させる為に新しく文法大系を構築なさったというわけか。
君:学校文法ではイ形容詞・ナ形容詞とは言わず、形容詞・形容動詞。ほほほ、だから口語文法が大学受験以降にストップしてしまった貴方が知らなくて当然よ。
私:我々、日本人には容易な国語だが、外国人には理解が難しい。あの人達にはそんなにも形容動詞の概念の習得が難しいという事か。
君:漢字習得の壁も相当なものよね。
私:日本語はなまじ片仮名・平仮名があるだけに。
君:英語を取り入れる日本語。国語もまんざらじゃないわね。
私:戦前はアジア各地で日本語が公用語だったんだがなぁ。
君:その話はさておき、飛騨方言の話にしましょ。
私:勿論。「静かだ」これは形容動詞だが「静かな家」という例文で、これを外国人はナ形容詞と教わる。
君:飛騨方言では「静かや」。
私:つまりはナ形容詞と教わった外国人は、日本には方言があり、関西や飛騨地方には「ヤ形容詞」があるのか、と気づく。
君:ほほほ、そうかも知れないわね。
私:時間さえあれば、日本には「ナ形容詞」も「ヤ形容詞」も存在しない事を説明できるのにね。
君:形容動詞というんだよ、とお教えなさりたいのね。
私:キチンと説明するには日本語には名詞と動詞と助詞の三品詞しかない事、そして膠着語である事を説明したらどうだろう。これなら約一時間の講義で僕は外国人学生に英語を用いてキチンと説明できる。
君:ほほほ、大きく出たわね。
私:しかも飛騨方言の説明まで含めるんだ。
君:あな、いとをかし。
私:名詞は noun、動詞は verb。これは万国共通。助詞は前置詞 preposition ならぬ後置詞 postposition だと教える。日本語には前置詞の概念が無い事を彼らの頭に叩き込む。
君:ほほほ。
私:名詞も動詞も語根がある事を説明する。語根が名詞そのものの事が多い事を説明する。
君:それはそうね。
私:「しづ静」という名詞の語根 calm があり、「しづか静」という名詞 calmness を説明する。「か」は語調を整える接尾語。
君:ふむ。
私:古代には「しづか」「に」「て」「あり」と話していた事を説明する。「に」は格助詞、「て」は接続助詞。
君:ほほほ、「に」+「て」が「で」に変化したと説明。「で」は名詞に接続するが名詞以外に接続しない事を説明。
私:ははは、ここまでくれば後は一気だね。「静か」は変化しないが、「で」+「あり」が、その後、変化する事を説明。
君:ほほほ、共通語では、であり>じゃ>だ、で現在に至る。
私:ははは、飛騨方言では、であり>じゃ>や、で現在に至る。
君:でも終止形の説明だけではだめよ。
私:その通り。「静かだ」は元々は「〜あり」(自ラ変)という動詞なので、形容動詞には動詞「あり」と全く同じ活用がある事を説明する。
君:英語等、インド語族で活用と言えばテンスだけだわよ。
私:その通り。日本語での活用の概念を説明する。未然・連用・・
君:ほほほ、経典ね。そこで更に次の経典を詠む。
私:その通り。実はタリ活用、ナリ活用があった事を教え、「たらたらりと・・ならなりに・・」の経典を繰り返す。僧籍のお方もそうだが、人の前に立つには何といっても声の張りが大切。日頃から発声練習をしておこう。
君:ほほほ、そして学校文法の経典で締めくくる。「だろだつでに・・」を繰り返す。
私:ついでなので飛騨方言の経典を詠む。「やろ/やつ/や/に/や/な/なら」。うーん、実に素敵な響きだ。
君:確かにそうね。
私:時間があれば更に詠嘆の接尾語(辞)「な」がある事を教え、「静かやなぁ」と言えば更にエレガントな飛騨方言になる事を教える。
君:ほほほ、確かにね。そもそもが外国のお方には「だろだつ・」は粗忽な響きに聞こえ、「やろやつ・」のほうが素敵な響きに聞こえるでしょうよ。何故、怪獣の名前はガギグゲゴなのかしら。
私:ハイライトとして今日のまとめを演説。Please remember. There are only three parts in Japanese language, i.e., nouns, verbs, and postpositions. Adjectives are in fact nouns and postpositions combined. Furthermore, verbs combine almost always with several postpotions and transform into different verbs quite easily. And please remember. All Japanese verbs and transformed verbs, so called Kei-You-Doushi, follows six conjugation patterns strictly. Mizen, Ren'yaw, and so on.
君:ほほほ、その通りね。実は意外なほどに簡単な日本語。The sentence of Japanese language is, in a word, a series of compound words made from only three post-hoc elements.
私:正にその通り。然も日本に留学する彼らは日本人が顔負けのトップクラスの知性の人々ばかりだろう。だから・・
君:ほほほ、こんなにも簡単な日本語の仕組みを理解するには一時間の講義が一週間もあれば十分かしら。それと、全国の皆様に代わって、後生のお願いだからこのサイトを英語化しないでね。さてさて、ナ形容詞のお話だったので、学生の皆様には・・な/あきつくに/なる/ことのは/ならふ/を/うとみ/そ。
名古屋大学国際言語センター 親しい同級生の奥様がここの先生です。

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