飛騨方言においては終助詞・さ、は高頻度に用いられる助詞でしょう。
代表的な言葉に、そうなんだ、の意味で、 そうなんやさ、
というのがあります。この場合は「や」の飛騨方言助動詞に接続しています。
ところが共通語では、そうなんですさ、とも、そうなんださ、とも言いません。
つまり、終助詞・さ、が助動詞に接続するというのは飛騨方言特有といえましょう。
ところが終助詞・さ、の接続則は実は、これだけではありません。
と言う事で詳しく終助詞・さ、の接続について説明しましょう。
体言に接続する用法、例 これは本さ。
飛騨方言では決して用いられません。
例ですが、飛騨方言では、こりゃ本やさ(両性)。、こりゃ本やぞ(男性)。こりゃ本やえな(女性)。、のように
つまり助動詞・だ、の飛騨方言形式「や」に接続して用いられます。
直接、動詞終止形に接続する用法、例 僕は行くさ。
飛騨方言でも使われます。ただし、共通語では男性の言い回しであるのに対して、飛騨方言では両性の言い回しです。
例ですが、飛騨方言では、とうちゃんはいくさ。、かあちゃんもいくさ。、のように用いられます。
直接、形容詞終止形に接続する用法、例 僕はうれしいさ。
飛騨方言でも使われます。ただし、共通語では男性の言い回しであるのに対して、飛騨方言では両性の言い回しです。
例ですが、飛騨方言では、とうちゃんはうれしいさ。、かあちゃんもうれしいさ。、のように用いられます。
直接、助動詞終止形に接続する用法、飛騨方言特有
例えば共通語の助動詞・だ、は飛騨方言では助動詞・や、に相当します。
共通語では、僕は兄ちゃんなのださ、とは言いませんが、飛騨方言では、
おりゃ兄ちゃんなんやさ といいます。
勿論、飛騨方言でも共通語・僕は兄ちゃんだ、に呼応して、
おりゃ兄ちゃんや、とも、あるいは、おりゃ兄ちゃんやさ とも言います。
助動詞・だ、以外にも、助動詞・そうだ、に相当する飛騨方言助動詞・そうや、等々、
とにかく、飛騨方言では直接、終助詞・さ、を全ての助動詞に接続する用法が可能です。
直接、「とも」の終助詞に接続する用法、例 ああ、いいともさ。
飛騨方言でも使われます。
直接、「かい」の疑問の終助詞に接続する用法、例 もういいかい。
飛騨方言では使われます。終助詞・かい、に相当するのが飛騨方言終助詞・がい、です。
例ですが、もうええがいさ、ないし、もうええがいさあ、と言います。
直接、「い」の断定の終助詞に接続する用法、例 誰だい? 何だい?
飛騨方言では使われます。
例ですが、誰やいさ? 何やいさ?と言います。
あるいは、これが詰まって、誰やさ? 何やさ?と言うこともありますが、こうなると
誰だ? 何だ? という、直接、助動詞に接続する用法と同じともいえます。
直接、[って]の引用の終助詞に接続する用法、例 彼、辞めたってさ。
飛騨方言でも使われます。
例ですが、ありゃ辞めたってさ、ないし、ありゃ辞めたってさあ、といいます。
付記
「さ」の間投助詞に接続 例、今日さ、図書館にさ、いってさ、
飛騨方言では決して用いられません。
例ですが、飛騨方言では男性では、今日よ、図書館によ、いってよ、のように用いられます。
女性では、今日えな、図書館にえな、いってえな、のように用いられます。
「さ」の方向を表す格助詞に接続 例、東京さ行く
筆者なりに東北地方に多い用法と理解しておりますが、飛騨方言では決して用いられません。
例ですが、飛騨方言では 東京行く、のように用いられます。他に 東京を知る事は日本を知る事だ、
という例文ですが、飛騨方言では 東京知る事は日本知る事や、などと、格助詞・を、をも省略します。
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