飛騨方言における終助詞については別稿にありますが、
本稿に方言文末詞と呼ぶべきものについてまとめてみます。
用法は共通語に通ずるものがあり、飛騨方言において極めて特殊な意味に
用いられることはないと筆者なりに考えます。
さ(さあ)、な(なあ)、さな(さなあ)の三者が頻用されるのが
飛騨方言の特徴のようです。
●さ、さあ
自身の意思、気持ちの確認の意味で用いられるようです。
代表的な言い回しに、そうなんやさ、があります。
そうなのです、私の気持ちはその通りです、という意味で使用されます。
また例えば、あれこーわいさ、と言えば、あらあら恐縮します、本心からです、という意味です。
あるいは、そしゃ書くさ、と言えば、そうすれば自らの意思で書きます、という意味になります。
●な、なあ
相手に納得、同意を得る意味で用いられるようです。そうなんやな、と言えば
そうですね、納得しておみえですね、という意味で使用されます。
●さな、さなあ
上記の方言文末詞・さ+方言文末詞・な、
つまり自身の意思、気持ちの確認を相手に納得、同意を得るという意味になります。
そうなんやさな、と言えば、私の気持ちはその通りですがご納得されますね、という意味
で使用されます。
なさ、あるいは、なあさ、という言い回しが成立しないのは、
同意を求めて後に言いたい事を打ち明けてはいけないという意味で当然の事と言えましょう。
●よ、よう
物事を断定して相手に当方の主張を押し付けるという意味で用いられるようです。
そうなんやよ、と言えば、
そうですよ、私の言う事に間違いないから私の主張に従いなさい、という意味で使用されます。
●よな、よなあ
上記の方言文末詞・よ+方言文末詞・な、つまり主張して同意を得たいという言い回しです。
そうなんやよな、と言えば、そうですよ、私の言う事に間違いないですよ、私の主張に納得されますね、という意味で使用されます。
なよ、あるいは、なあよ、という言い回しが成立しないのは、
同意を求めて後に主張してはいけないという意味で当然の事と言えましょう。
●わい
感動、詠嘆の意味で用いられるようです。例えば、こりゃうまいわい。
あるいは単なる相槌表現でも用いられます。例えば、そしゃ歌うわい(それでは歌います)。
|