飛騨方言においては、女性格を示す終助詞に、ぞえな、ぞな、ぜな、えな、の四種類がある事を当サイト別稿にて
お示ししました。これら四者のうち、えな、は純粋に女性格の終助詞であり、男性が用いると不自然であるという
言葉です。
ところが、ぞえな、ぞな、ぜな、の三者に関しては、男性が用いる事も実は多いのです。
男性格の飛騨方言終助詞は、ぞ、ですが、ぞんざい、ぶっきらぼう、乱暴、粗野であるという印象の
会話文になってしまいます。ところが男性が、ぞえな、ぞな、ぜな、を用いますと、終助詞・ぞ、の文例の
ような印象が勿論なくなり、
やさしい、折り目正しい、という雰囲気になります。不肖・佐七の飛騨方言翻訳コーナーでは、日本国憲法前文を
飛騨方言に訳すにあたり、図らずも、終助詞・ぜな、を用いてしまいました。
ついで本題の、終助詞・ぜな、の用例、用法について触れましょう。
筆者なりに考えますに、俚諺の終助詞と断定出来るのかもしれません、とにかく、ネット検索をしてみても
情報は皆無に近かったのです。がしかし、検索した数万件中、ふたつの情報がヒットしました。
"おばあちゃんの部屋"さんの
www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/2463/hinto.htm 刺し子ワンポイントアドバイス
"ちょっとの心配りで、仕上がりが全然変わってくるぜな。(原文のまま)"との記載があります。変わってくるのですよ、と言う意味です。
www6.plala.or.jp/ebisunosato/nomugi.htm 女工哀史ああ野麦峠、に
「雪が降ってくりゃ、野麦峠には銭が降ると思って行け。と親にいわれたんやぜな。」
「おりだち(私たち)は、こんで(これで)飛騨とも別れるんやな、ツォッツァマ(お父さん)、カカサマ(お母さん)、
まめでおってくれよ(元気で居てください)。といって、飛騨と信州の境で、みんなでしがみついて泣いたんやぜな。」
「岡谷の大和製糸へ14のときから8年の間、野麦峠を越えて通ったんやぜな。」
(以上、原文のまま)、との記載があります。
小生がいくら用例を内省し記載しても、真実の言葉にはかないませんので、
本稿では、上記の稀少な飛騨方言ネット文字情報の紹介をもって用例に変えさせていただきます。
|