大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における否定の助動詞・ん

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共通語における否定の助動詞・ぬ、に相当するのが飛騨方言助動詞・ん、です。 もっとも表記、発音がやや古風に、行く行かぬ、であれ、あるいは言いやすく、 行く行かん、であれ、ともに共通語とも言えましょう。 ところが飛騨方言では終止形のみにならず全活用で、ん、の音となる点が 共通語と異なります。
   共通語 飛騨方言 例文
未然 ○   ○    ○
連用 ず   んず   来んずに寝とる佐七
終止 ぬ(ん)ん    来ん
連体 ぬ(ん)ん    寝とって来ん佐七
仮定 ね   んに   来んにゃだしかん(=だめだ)
       に    来にゃだしかん(=だめだ)
命令 ○   ○    ○
勿論飛騨方言でも、来ずに寝ている、と言うでしょう。 然しながら、こねばだめだ、と言う表現は飛騨方言には 無い、というように筆者は考えます。 カ変動詞のみではありません、例えば 四段・行かねば(行かんにゃ、行かにゃ)、 上一・着ねば(着んにゃ、着にゃ)、 下一・出ねば(出んにゃ、出にゃ)、 サ変・せねば(せんにゃ、せにゃ)、動詞一般に当てはまります。

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