大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 機能別表現

飛騨方言の可能表現

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動詞の可能表現について概説します。

★四段動詞
 (ら)れる、を未然形に接続する事はあまりない。 寧ろ、あらたまった言いかた、受身・尊敬表現、 に使用する。 一般的には可能動詞を用いるが、例・書くを書ける、 更にれ足す表現で、書けれる、という事がある。 可能動詞の語源については、飛騨方言も共通語に同じく 連用形+える・得る、 からの 連母音融合(かきえる−>かける)によるのでしょう。

   俚言動詞も同様、例えば、げばす(失敗する)、の 可能表現は、げばせる(失敗する事ができる)。 げばされる、というと、失敗されてしまう、という 受身表現になり、発音は必ず平板となる。

★上一段動詞
 れる、を未然形に接続する。例・着るを着れる。 着られる、はあまり用いないようです。動詞に よっては、例えば切られる、受身に意味が限定する。

★下一段動詞
 れる、を未然形に接続する。例・出るを出れる。 また動詞により、さらにれ足す言葉になるようです。 例えば、消す−>けせれる。

   若干の動詞でア行に変化する事がある。例えば 食べる−>たばる、おぼえる−>おぼわる、 植える−>うわる、あける−>あかる、等

★カ変動詞
 来る−>これる、が一般的。こられる、は むしろ受身・尊敬の意味に限定する。

★サ変動詞
 終止形・せる、に対して、せれる、が 一般的。 せられる、は むしろ受身・尊敬の意味に限定する。 講演せる、は、講演せれる。 こうぜる(=講ずる)は、こうぜれる

★その他の表現
 できる、の活用は共通語に同じ、但し命令形は できよ、あるいは、できれ。

   できる人という意味で、まちょうなひと、 という表現があります。できない人の言い回しには、 できんばち(出来ぬ罰当たり野郎)、 りきみて(力み手の人、力は入るが結果が出せぬ人) などがありますが、死語でしょう。 

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