大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

補助動詞とは

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私:まずは補助動詞の定義について。動詞の一種だが、学校文法の言葉かな。実質的意味を失い、前の語句に添えて補助的な意味を付け加えるもの。前の句も動詞の事が普通にて、本動詞という。つまり本動詞がその句の本来の意味を代表するという事。
君:実例がいいわよ。
私:うん。★置いてある・書いている(存続)、★読んでおく(予行・放置)、★ばれてしまう(完了・不本意)、★経営していく・黄ばんでくる(方向)、★やってみる(試行)、★話してあげる・聞いてやる・呼んでくれる・書いてもらう(受給)、★山である(断定)、★見たり聞いたりする・知りもしない(動詞+副助詞を受ける)、更にはこれらの待遇表現(例、いらっしゃる、申し上げる、くださる、さしあげる。ございます、等々)。
君:前の句が本動詞以外の事もあるのね。
私:ああ。断定の例だね。山で(ある)、の他には、豊かで(ある)。名詞と形容動詞だ。山田文法や松下文法では補助動詞は形式動詞と呼ばれる。
君:本動詞+補助動詞で一つの意味なのだから、学校文法の本動詞に相当するものは山田文法や松下文法においては何というのかしら。
私:実質用言だね。形式用言という言葉もあり、あり・おり・はべり・いますがり、及び形式動詞[す]と形式形容詞[ごとし]が含まれる。
君:飛騨方言とはあまり関係のないお話ね。
私:飛騨方言の言い回しに、捨ててくる(捨てに行ってくる)、がある事を友人とのSNSで発見、今日の原稿になった。
君:「捨てに行く」とはいうけれど「捨ててくる」とは言わない、という意味ね。
私:「捨てに行く」は何処か現在地とは違う場所に捨てるという意味だが、「捨ててくる」の意味を厳密にとらえると、自分の家にゴミを捨て続けてやがて未来という日が来てしまう・つまりはゴミ屋敷が完成する、という意味になろうかと思う。飛騨方言の「捨ててくる」は決してそのような意味ではない。つまり品詞分解すると、本動詞「捨てて」+補助動詞「くる(=行ってくる)」という事になる。
君:漢字の事が気になるわ。
私:「くる」なのか[来る]なのか、という事だね。補助動詞は平仮名表記が原則、特に公文書。平成22.1130内閣告示第2号。その一方、複合動詞の場合は前項動詞も後項動詞も常用漢字表にある漢字は使うのが普通でしょう。つまりは、「捨てて来る」と表記した場合、「(どこかに)捨てて(帰って)来る」という複合動詞であるという解釈が成り立つのじゃないかな。
君:結局は些細な事だし、意味は自明の事よね。平仮名表記のほうが柔和な感じで書くには無難という事だけれど、話し言葉たる方言には無用の議論ね。ほほほ

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