大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言の第二人称代名詞

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飛騨方言では、あなた、の事を通常、わりぃ、といいますが、勿論、共通語も頻繁に用いられます。 女性の場合は、相手の姓・年齢に関係なく、あんた、という言葉を用いる事が多いと思います。 勿論、母親が子供を呼びつける場合は、当然、わりぃ、を使います。 あるいは、老婆が久しぶりに面会した親戚の子供に対して親しげに
"わりゃ知らん間におおきょうなって、はや、おとなやなあ。
(あなたは知らない間に大きくなられて、もう大人ですねえ。)"
という事もあるでしょう。

さて、飛騨方言では、わりぃ、以外に、そこ(初めにアクセント)、を用いる事も多いのです。 この場合は、あなた、という意味ではなくて、貴方の家、貴方の家族、というような意味に なります。
そこはインターネットやっとるがい?
という会話文は、あなたの家は、あるいは、あなたの家族の方はインターネットをしていますか、という意味で、 あなた自身がモバイルインターネットで二十四時間中インターネットをしていますか、という意味ではないのです。 否、むしろ、あなたの家族の方、の意味には、あなた自身、が含まれていない事もあります。例えば
親父さん、あなたのような高齢ではまさかインターネットをなさらないのでしょうが、息子さんかお孫さんかどなたか、 とにかくあなたのご家族のどなたかがインターネットをなさいますか。
という意味で使用される事もあるのです。
そこは車が何台や?
という会話文は、貴方の家は車が何台ありますか、という意味になります。
そこは、ええ車をかわはったなあ。
という会話文は、あなたの家はいい車を買われましたね、という意味ですが、 会話相手が先方の子供さん、実際に買った本人は先方の世帯主、という事もあります。

総括しますと、わりぃの家、ないし、わりぃの家族、の事をひとことで、そこ、という場合が 多いが、会話の内容によっては、そこ、は、わりぃ自身、を示す事もあるという事です。 例えば、
そこの嫁さんはべっぴんや。
といえば、嫁さんの夫に対して話せば、そこはわりぃ自身、夫以外の家族の方に対して話せば、 そこ、は、あなたの家、の意味になります。

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