大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
へた |
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私:飛騨方言への興味は尽きない。二十年弱になるが、まだ始まったばかりだ。 君:接尾語「へた」とは、さて? 私:飛騨方言の例としてはお尻の事をシリベタあるいはケツベタという。勿論、全国各地の方言だ。共通語でもホホ頬の事をホッペタというね。 君:つまりはヘタという音韻があって、これがライマンの法則によりシリベタ・ケツベタになり、一部は促音便+半濁音になったのでは、と考えたのね。 私:まあ、そんなところだが、国語と言う学問は底が深い。角川古語大辞典を紐解くと愕然とさせられる。 君:愕然?いいから簡単に結論をお願いね。 私:当サイトの語源コーナーにシリベタ・ケツベタの語源は古語ヘタ辺からかも、と記載したが、実は間違い。語誌的には最初がシリコブタ臀。大阪独吟集・由平(1675)と敵討蚤取帳(馬琴の黄表紙)。つまり近世語。その後、続々と俗語が現れ、しりたぶら・しりべた・しりたぶ、等々。要は言葉遊びなので語源については深く考える必要は無い。その一方、ホッペについては角川古語大辞典にはホホ頬+ヘタ辺の記載。出典は七番日記、つまり一茶と鳩翁道話(江戸後期、柴田鳩翁)。 君:そんな事はいいから、まず結論を言ってね。然も一言でお願いね。 私:シリベタ・ケツベタ・ホホベタ、皆が近世語、つまり江戸語。つまり、語源はどうぞご自由に、という事。大切なのは響き。 君:要は近世語というよりは江戸時代の俗語ね。 私:それだけじゃない、手元に講談社江戸語大辞典がある。実はそこに全て記載されている。 君:要は黄表紙や赤表紙の世界ね。 私:今までコツコツと方言を独学してきて数々の和語に逢った事に感激したものだが。 君:ほほほ、ややガッカリというところかしら。 私:よくもからかってくれたね。ガッカリの語源を知ってるかい? 君:知るわけ無いわよ。 私:これも近世語のオノマトペ、というか副詞、というか自サ変語幹。江戸語大辞典に記載がある。 君:ガッカリする左七。自サ変語幹。ほほほ |
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