大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

へこたん(好色な人、助平)

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僕:読者のおかたには女性もおられましょう。当サイトはエンタメ系とは言え、学術性をモットーとしているので、卑猥な言葉はあまりお書きしたくないのだが。
君:だったら、なるべくお上品に書いてね。
僕:はいはい。飛騨方言の死語に近いと思うが、土田吉左衛門「飛騨のことば」には記載がある。籏鉾村の言葉。斐太高校の同級生では籏鉾出身は、うーむ、いなかったな。文例としては「そんね(=そんなに)−ばかり言うと、学校の先生にそうぞ(=言うぞ)」。
君:ちょっとミスセンスね。「へこたん」とは「卑猥な話」という意味であり、「卑猥な人」という意味では無いじゃないかしら。
僕:いやあ。鋭いね。キーワードは「派生語」。先ほどは手元の小学館・日本方言大辞典を調べて、数秒で結論が出た。
君:つまりは辞書を開いて読むや、直ぐに意味が分かったのね。簡単に、ひと言で説明してね。
僕:「へこたん」は「ひょこたん」の音韻変化。「ひょこたん」は全国各地の方言で一つには瓢箪・ひさご、だが、残りは、軽薄な者。だらしのない者、ひょうきんな者、などの意味。江戸語辞典をみたら「ひよこすか《副》」があり、言動の不用意なさま。このあたりからの言葉だな。より大胆にお書きすると、ひょっとこ、から来た言葉でしょ。
君:なるほど、ひょっとこは、ひょうきん者の代名詞よね。
僕:ユーチューブには素晴らしく卑猥な踊りの動画があるが、よい子の方言教室を自負する当サイトとしてはこれくらいで勘弁してください。

君:左七は村祭りが懐かしいのね。
僕:その通り。先ほどは「飛騨」「村祭り」「ひょっとこ」で検索したが。残念な事にヒットしなかった。
君:でも可愛らしい小学生さんの踊りでも十分だわよ。
僕:残念な事に、・・小学生さんには肝心の持ち物が無い。飛騨の村祭りとの決定的な違いと言ってもいい。
君:持ち物?ドジョウ掬いの網籠とか。
僕:いやちがう。丸い棒だ。
君:棒?ああ、あれね。
僕:そう、あれです。
君:一個だけよね。
僕:そう、二個は有り得ないな。
君:棒の直径は約5センチよね。
僕:そうだね。そして長さは約二十センチ。山形のこけしのような形。
君:そうね。ひとつの端は平面の断端だけれど、もういっぽうの端が問題ね。
僕:そう。ドーム形で、真ん中で少し割れた感じ。
君:これくらいで十分じゃないかしら。
僕:いや、これだけは言わせてくれ。
君:勝手にしてね。
僕:両手でその棒を持って、だらんとたらしたり、ブラブラ振り回したり、つまりは散々に弄ぶ仕種の踊りなんだ。これが飛騨の村祭りのひょっとこ踊り。
君:籏鉾の人達の気持ちがわかるわよ。
僕:うん、わかるわかる。
君:「ひょっとこ」という名前を言うのも恥ずかしいので「へこたん」になったのよね。
僕:だろうね。ぶっ
君:きっとそうよ。ほほほ

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