筆者が高校生時代から用いている角川国語辞典・久松潜一著、があります。
裏表紙裏に全日本アクセント分布図が印刷されており、
なんと岐阜県全域が東京式アクセント。
当時から筆者は、
(飛騨も長く天領時代が続いたからなあ。
だから僕たち飛騨はやはり根本的に東京式アクセントなんだよね。
京阪神に就職すると大阪方言を覚えなくっちゃいけないけれど、
若し東京に就職するなら、飛騨方言そのままのアクセントでいいのさ、ははは。)
なんて信じていましたね。
現に例えば、関東なら山やま○●、関西なら山やま●○、あべこべです。
飛騨は山やま○●です。
飛騨の生まれの当時の筆者はつまり(1)東京に就職するなら地でいくぞ、
(2)大阪に就職するならさあ大変だ逆のアクセントで行こう、と決心していたわけです。
でも筆者なりに今考えますと、
久松先生、東京式アクセント、という言葉はある面に於いてまずいのではないでしょうか。
東京式とはさて、つまりは江戸式という事ですね。
それでも江戸式ですが、話が戻って久松先生の国語辞典裏表紙裏ですが、
東北全体が東京式(でも福島県あたりを中心に曖昧式)、
中国地方全体がなんと東京式、私がなんとか納得できるのが北陸全体が京阪式、紀伊半島全体及び三重県までは
京阪式位のところで、愛知県全体が東京式です(納得できなくも無い)。
やはりここはひとつ、久松先生の国語辞典の表現は東京式の言葉はやめて関東式、あるいは坂東(ばんどう)式
にすべきだったのではないでしょうか。
東京式のほうが勿論ですが言葉としては分かりやすい、何も物事を考えなかったかつての
高校生・佐七向きです。でも坂東式と書かれたら、はて坂東とはなんぞや、と
高校生・佐七は考えたでしょう。
どうでしょうか、故・久松先生。
以下はまとめに。
まとめ
( 何百年を経てもアクセント核はそう易々とかわるものではありませんでしょうから )
▼飛騨方言がいわゆる東京式アクセントである事は疑うべくもない。
▼がしかし、そのアクセント体系が成立するのはおそらく
太田道灌(1432〜1486)が江戸を開く以前からの可能性がある。
▼従って狭義では飛騨方言は坂東アクセント(つまりは箱根の山の足柄山の坂の東側、つまり関東平野のアクセント)
に属するのであろう。
▼つまりは飛騨方言のアクセント体系は鎌倉時代にさかのぼる可能性がある。
▼"東京式アクセント"という言葉は実は
自意識過剰な田舎の人間には魅力的すぎるのです。
この語はかつての佐七少年のような洗脳されやすい若い頭には誤解( i.e., Tokyo is No.1. )を招きやすい。
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